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【QAあり】ストレージ王、運営管理・開発分譲事業ともに増収、新築ビルイン型トランクルーム含め新規16店舗を開業

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2024年3月19日に発表された、株式会社ストレージ王2024年1月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

1. 2024年1月期決算の概要①-PL

【QAあり】ストレージ王、運営管理・開発分譲事業ともに増収、新築ビルイン型トランクルーム含め新規16店舗を開業

荒川滋郎氏:株式会社ストレージ王代表取締役の荒川滋郎です。2024年1月期の決算および2025年1月期の事業計画についてご説明します。どうぞよろしくお願いします。

最初に、2024年1月期の決算の概要とトピックについてです。セグメント別の売上高は、トランクルーム運営事業は前期比1億300万円増の7億4,900万円、開発分譲事業は前期比1,200万円増の24億3,000万円となりました。

一方、売上原価は、トランクルーム運営事業が前期比1億4,800万円増で、残念ながら売上総利益は前期を下回る数字となりました。開発分譲事業は、売上原価を前期比で4,000万円削減でき、売上総利益は前期比5,200万円増となりました。

これらの結果、営業利益は前期比200万円減の1億5,100万円、経常利益は前期比900万円増の1億5,700万円、当期純利益は前期比700万円増の1億900万円となっています。なお、新たに新築屋内型のトランクルーム5棟を含め、16の店舗を開業しました。

1. 2024年1月期決算の概要②-PL

売上利益の全体像についてです。全体の売上高は前期比2億6,000万円増の33億2,500万円となりました。売上原価は前期比2億2,800万円増の27億9,100万円となっています。売上総利益は前期比3,200万円増ですが、販管費が3億8,300万円と、前期比で3,500万円増えているため、営業利益は前期比200万円減の1億5,100万円となりました。

販管費については、今年度以降も事業を拡大していくため、人員を前期の20名から25名まで増強しています。このような先行投資の部分でコストが先に発生しているとご理解ください。

経常利益は前期比900万円増の1億5,700万円、当期純利益は前期比700万円増の1億900万円という結果です。

1. 2024年1月期決算の概要③-BS

貸借対照表についてご説明します。総資産は、前期比10億2,200万円増の28億4,100万円となりました。主な内訳としては、現預金が前期比1億1,600万円増の9億4,700万円、販売用不動産が前期比6億8,900万円増の11億2,500万円となっています。

この販売用不動産の増加は、来期に向けた仕入れの増加によるものです。主な案件としては、名前を天王町トランクルームとする予定の西横浜の案件、亀戸のトランクルーム、南砂のトランクルーム、兵庫県加西市のホテルの仕掛かりなどが積み上がっています。これらのトランクルーム案件は、今期売却に向けて設計および工事を進めている段階です。

この棚卸資産の増加に対して銀行借入を行った結果、流動負債は前期比4億2,200万円増の6億2,900万円、固定負債は前期比4億8,800万円増の11億8,300万円となりました。これは長期借入金が10億5,900万円と、前期比で4億4,600万円増加したことによるものです。この長期借入金はコンテナ型トランクルームの出店コスト等に充てています。

1. 2024年1月期決算の概要④-CF

キャッシュ・フローの状況です。営業キャッシュ・フローは4億5,900万円のマイナスとなっています。こちらは、税引前当期純利益1億5,700万円のプラスがあったものの、今期物件売却に向けた棚卸資産の積み上げとして6億8,200万円を使用したためです。

投資キャッシュ・フローも2億1,600万円のマイナスですが、こちらは有形固定資産の取得1億9,400万円などが影響しています。営業・投資キャッシュ・フローのマイナス分を財務キャッシュ・フロー7億9,000万円で補った結果、期末のキャッシュ・フローは9億4,700万円となりました。

1. 2024年1月期トピック①アーバネットコーポレーションとの業務提携

2024年1月期に実施した業務提携、営業連携についてご報告します。まず、昨年11月に行ったアーバネットコーポレーションとの提携についてです。

こちらは東証スタンダードに上場しているマンションデベロッパー、アーバネットコーポレーションとの業務提携で、同社は都心型のマンション開発をしています。当社の屋内型トランクルームも都心立地で、出店条件が非常に類似しています。

探している土地の規模としては、当社が延床面積200坪程度であるのに対し、先方は延床面積300坪以上のマンション用地とサイズが異なります。そのため、用地情報の相互活用ができます。

また、先方のマンション開発にあたり、例えば地下の駐車場部分を大型バイク専用駐車場として貸し出すなど、新しいマンションのかたちに取り組まれる際に当社がご協力できると考えています。

2024年1月期トピック②-タイムズモビリティとの営業連携

次に、カーシェアを展開しているタイムズモビリティとの営業連携です。当社のトランクルームを利用されるお客さまは、大きな荷物をマイカーやレンタカーで運ぶケースが多いのですが、最近はカーシェアが普及してきており、より気軽に荷物を運ぶことができるのではないかと考えています。

先期に出店した下目黒も、月極駐車場料金が非常に高いエリアで、車の運転はできてもマイカーはお持ちでないお客さまもいます。そのようなお客さまにも気軽にトランクルームを使っていただきたいという当社の考えをご相談したところ、タイムズカーシェアとしてもカーシェアを利用する会員を増やしたいということで、お互いにメリットのある営業連携となりました。

連携内容としては、当社のお客さまに入会特典やチケットプレゼントを実施しています。季節の荷物入れ替えの際などにカーシェアを利用してトランクルームをご利用いただけるよう、新規利用者の獲得に取り組んでいきます。

1.2025年1月期トピック-バリュークリエーションとの業務提携

続いて、バリュークリエーションとの業務提携についてです。こちらは2月に提携したため、2025年1月期のトピックとなっています。バリュークリエーションは、DX事業の会社で、「解体の窓口」という空き家問題解決のためのサービスを展開しています。

こちらは解体業者と建物を解体したい利用者をつなぐサイトです。一般の消費者が解体業者を知る機会はなかなかないため、バリュークリエーションが両者をつなぐサービスとなっています。

また、建物の解体を希望する利用者の2割以上が、解体後の土地を売却したいという意向があります。例えば「解体の窓口」には、「遺産相続で家を引き継いだものの、自分はすでに持ち家があるため解体した家は売却したい」「土地の販売先を探している」というようなご相談があるそうです。

当社は住宅に近いエリアでトランクルームとして利用できる用地の情報がいち早く入ると大変ありがたく、また、利用者にとっては土地の売却の選択肢が広がるということで、業務提携を行いました。

2. 各事業の状況①-開発分譲

2024年1月期の各事業の状況についてご説明します。まず、開発分譲事業です。下目黒、西大井、東長崎、那覇泉崎の新築屋内型トランクルーム、国府台のマンションについては、不動産投資家への売却が完了しました。これらが2024年1月期の売上・利益に貢献しています。

下目黒は住宅が多く、トランクルームのニーズが非常に高いエリアです。品川区の西大井も、最近、新川崎とともに総武快速線沿線の新しい住宅街として注目されています。再開発中の大井町へも徒歩圏内で、マンション開発等が進んでいます。

また、豊島区の東長崎も非常に住宅が多いエリアです。那覇の泉崎は、当社の沖縄初出店となりました。夏場は高温多湿になる土地柄もあり、衣類の保管などに利用できる空調の効いたトランクルームの供給が少なく、ニーズが高いエリアです。

国府台のマンションについては、いったん購入していた当社の本社のある市川市の物件をバリューアップし、売却しました。

2. 各事業の状況②-運営管理

運営管理の状況です。2023年1月期の段階では8,574部屋を管理していましたが、前期中に15.3パーセントにあたる1,312部屋増加し、9,886部屋となりました。

2024年1月に、下目黒、西大井、東長崎などの大型店をオープンしたため、若干稼働率は下がっていますが、これから稼働率を高める努力をしていきます。また、今期はさらに1,600部屋を増やす予定です。

2. 各事業の状況③-運営管理

出店場所の分布についてです。スライドは関東圏と岡山周辺の地図となっています。全国、関東地区から沖縄までのエリアに、前期末で165店舗、9,886部屋のトランクルームを運営しています。

今期に入ってから、すでに鹿沼、結城、富士、沼津、八街、真岡にトランクルームを開業しており、前期末から6店舗増の171店舗、1万部屋を突破したところです。岡山地域は、2015年に地元の百貨店「天満屋」が運営していたトランクルーム会社と合併した経緯もあり、店舗数の約4分の1が岡山エリアに展開しています。

今後とも各地域の需要を確認しながら、積極的な出店と稼働率確保のためのリーシング活動を強化していきます。

3. 2025年1月期重点施策①-社会情勢

2025年1月期の重点施策と事業計画の内容についてご説明します。まず、現在、当社およびトランクルーム業界が直面している社会情勢についてお話しします。本日も金利についての発表がありましたが、金利情勢はまだ先行き不透明です。加えて、物価高や不安定な国際情勢、円安も継続しています。このような情勢を背景に、やはり消費マインドは冷え込んでいる状況と認識しています。

一方で、首都圏のマンション価格の高止まりは継続し、テレワークのような働き方も定着していることから、自宅を広く使いたいという要望もあり、トランクルーム事業にはまだ底堅い需要があると考えています。

人口についても、長い目で見ると日本全体では減少していくといわれていますが、2050年の段階では、東京圏では人口集中が見込まれており、東京エリアのトランクルーム需要は継続する予想です。

そのような中で、現在、仕入れを行っている屋内型のトランクルーム用地については、建設業界の2024年問題や働き方改革の法律適用による工期の延長などが懸念されています。さらに建設費についても、人手不足や資材高騰などが大きな問題になると考えています。加えて、若い方を中心に車を保有しない方が増えてくることも今後の情勢として認識しています。

3. 2025年1月期重点施策②-予算編成方針

このような社会情勢に対し、今期における当社の予算編成に向けた5つの重点施策をご紹介します。

1番目はリーシング強化です。トランクルームを作っても利用者がいなければ収入が得られないため、まずはリーシングを強化することを大きなテーマとしています。

2番目は出店形態の戦略的配分です。建設価格の高騰やエレベーターの供給不足といった状況で、当社の祖業であるコンテナを使ったトランクルーム出店を強化したいと考えています。

コンテナ価格は円安の影響で多少上昇しているものの、国内の建設価格ほどではなく、工期が短いというメリットもあります。前期は7店舗の開業でしたが、今年はその3倍以上である23店舗の出店を計画しています。このように、さまざまな形態のコンテナ型を強化していきます。

3番目は首都圏の屋内型物件の出店継続です。こちらは用地の仕入れも順調に整っています。建築費の高騰を予想し、用地の確保については非常に慎重に行っていますが、今後も首都圏の出店は継続していきます。さらに、都市型木造案件の取り組みで、鉄骨造ではない建物も作ってみたいと思っています。

4番目は、対象アセットの拡大と不動産投資家への営業強化です。当社はホテルやマンションなどのアセットの取り扱いを経験しています。トランクルームだけでなくさまざまなアセットを買われる不動産投資家が多いため、そのようなニーズに応じて営業を強化していきます。

5番目は、一級建築士事務所としての事業取り組みです。今年1月に取得した一級建築士事務所としての資格を活かし、土地所有者の方や建物の建造を考えている方にさまざまなご提案をしていくことを、新しい事業として取り組んでいきます。

3. 2025年1月期重点施策③【1リーシング強化】

テーマ別に、さらに詳しくご説明します。リーシング強化の第1の施策として、マーケティングによる販促強化を考えています。多様性の時代において、いろいろな方がさまざまな目的でトランクルームを利用します。当社はあらためて今のお客さまのデータを深掘りし、どのような方がどのようなトランクルームを使いたいのかを一生懸命調べています。

その結果、私どものお客さまにおいて若い女性の比率が低いことがわかりました。そのため、2024年3月に、若い女性に向けた「Poco’ce」という都営地下鉄の中で配布されている冊子に「このようなかたちでトランクルームを使ってはいかがでしょうか?」という広告を出します。その他にも、例えば大型バイクに乗っている方にはバイクの駐車場を宣伝するなど、いろいろな用途を提案していければと考えています。

第2の施策は、法人営業の強化です。法人のお客さまは特に都心部の案件に多く、また、1つの法人でいくつかの部屋を契約するように、契約の規模も個人と比べて大きいことが特徴です。今までは、法人に対して個別にアウトバウンド型の営業を行っていなかったのですが、これからは人員強化により営業体制を強化し、法人営業にもしっかり取り組んでいきたいと思います。

第3の施策として、タイムズモビリティとの営業連携で、自家用車を持たない家庭でも利用しやすいサービスを実施します。今まで私どもは保管する場所の提供に特化していました。今後は単に場所を提供するだけではなく、そこに運び込む手段なども提供することにより、お客さまの広がりを求めていきます。

3. 2025年1月期重点施策④【2出店形態の戦略的配分】

次に、出店形態の戦略的配分についてです。私どもは大きく分けて3つのトランクルームを開発運営しています。

屋外型とは、コンテナを使ったロードサイド型のトランクルームです。こちらは海上輸送運搬用のコンテナと同じサイズの建築専用のコンテナを使っており、車を乗りつけて荷物の出し入れができ、非常に便利に使っていただいています。こちらは借地の上に建てるケースが多いため、非常に利回りは高くなる案件です。

次に、屋内型です。屋内型のうち建築型は、私どもが土地を買って、そこにトランクルーム専用の建物を建てる1棟型です。これには空調設備もあり、セキュリティ設備も充実しています。また、鉄骨造がほとんどで、構造の強度や断熱、空調も万全にしています。こちらは土地を取得する必要があるためコンテナ型より利回りは低くなりますが、投資規模の大きい不動産投資家の方にご利用いただいています。

屋内型のビルイン型は、すでに建っているビルの一部をトランクルームに改造するもので、ビルの躯体があるために利回りも高くなりやすい案件です。

建築費が高騰している中で、建築型に過度に依存することなく、コンテナ型のトランクルームの出店を強化したいと考えています。また、建築型についても木造建築などにより、コスト削減や工期を短くする工夫をしていきます。ビルイン型についても既存ビルへの出店を強化して、数を増やしていくことを検討中です。

3. 2025年1月期重点施策⑤【3首都圏屋内型物件の出店継続】

次に、首都圏屋内型物件の出店継続についてです。首都圏への人口集中はまだ続いており、マンション価格が高止まりしていて、収納に十分なスペースを割けていない世帯があるため、引き続きこちらの取り組みを進めていきます。

2025年1月期の出店予定店舗は、スライド下部に記載のとおりです。天王町については、従来は西横浜という名前でリリースしていましたが、今後は天王町としてオープンしようと思っています。私どもとしては、新築屋内型として横浜市で初めての案件です。

加えて、すでに土地の購入についてリリースしている幡ヶ谷です。こちらも渋谷区で初の新築屋内型の案件です。世田谷区の池尻は規模が小さく、工期が短くできることから、新築木造案件として位置づけています。

江東区の亀戸と南砂は、都心へのアクセスが近いわりには今までマンション需要が少なかったのですが、今は非常に需要が高まっているエリアです。この2ヶ所に新しくトランクルームを作りたいと考えています。

これらに加えて、昨日、本日とリリースしている杉並区の宮前と、新宿の西新宿の土地を取得予定です。一部は来期にずれ込む案件があるものの、用地の取得は順調に進んでいます。今後、建築費の高騰あるいは工期が延びるリスクもあるため、コスト・工期のコントロールを十分に行っていき、トランクルームの開業までこぎつけたいとして準備中です。

3. 2025年1月期重点施策⑥【4アセット拡大と投資家への営業強化】

次に、アセットの拡大と投資家への営業強化についてです。私どもがトランクルームを不動産として売却している投資家に対して、トランクルーム以外のニーズもあるのか、普段からいろいろとお尋ねしています。私どもは信託銀行や不動産業者等とのお取引もあるため、そのような売りたい方と買いたい方のニーズを、アセットタイプによらずつなぐことができると考えています。

特にオフィス案件については、例えばオフィスビルで一部のフロアがまだ空いていて売りたいという方に対して、そのフロアをトランクルームにして収益を増やしバリューアップした上で、オフィスとトランクルームの複合ビルとして投資家に売るケースも考えられます。このようにして、不動産業としていろいろな取り組みをしていきたいと考えています。

3. 2025年1月期重点施策⑦【5一級建築士事務所の事業取組】

次に、一級建築士事務所についてです。今年1月19日に一級建築士事務所の登録をしました。社内で一級建築士を採用しており、私どもはトランクルームを作ることに関していろいろなノウハウがあるため、土地の有効活用をしたいお客さまに対して「このような建物を建てたらよいのではないでしょうか?」といった提案ができます。

このような資格も活かして、いろいろな営業拡大をしていきたいと考えています。

3. 事業計画①-目指す売上損益

このような施策をもって2025年1月期に目指す計画です。売上高は、前期の33億2,500万円に対し114.3パーセントの38億円を目指しています。売上総利益は、前期の5億3,400万円に対して6億2,300万円です。

販管費も人員等を強化する関係で、前期の3億8,300万円から4億5,300万円と増やし、前期比118.3パーセントとします。営業利益については前期の1億5,100万円に対して1億7,000万円です。当期純利益は前期の1億900万円に対し今期は1億3,000万円を目指していきます。

売上高を大きく伸ばす計画において、土地の購入についてはある程度目処が立っています。一方で建築費の高騰の影響があるため、コストコントロールは一層シビアになってくると考えています。そのような意味で、利益金額については非常にチャレンジングな事業計画だと思っています。

また、リーシング強化、コンテナ出店強化についてです。トランクルーム業界はまだ出店の余地があるため、利益を少しでも確保できるように人員・営業強化も含めて体制を整え、今期に臨みたい考えです。

3. 事業計画②-主要経営数値実績【参考資料】

セグメント別の状況です。売上高は、新規出店が増えてきた関係で、運営管理については前期の7億4,900万円から8億7,500万円へ増加します。開発分譲については前期の24億3,000万円から25億2,900万円と、規模はあまり大きくなりません。その他の売上高は前期の1億4,600万円から3億9,500万円、合計は前期の33億2,500万円から38億円へ伸ばす計画です。

売上総利益は、運営管理については宣伝費等をつぎ込んでいることもあり、前期より微増の5,700万円です。開発分譲については前期の4億5,100万円から5億2,800万円へ伸ばします。

店舗数については、コンテナの店舗が前期比で23店舗増加と、大きく伸ばす計画です。管理部屋数については、前期中に1,300室強増やしましたが、今期は1,600室増やす計画を立てています。

4. 今後の事業見通し①-3カ年計画

今後の事業の見通しです。売上高は、2024年1月期から2025年1月期にかけて38億円に増やしてきたのですが、2026年1月期以降はあまり大きく増やさない計画です。

これはトランクルームの出店ペースを落として成長を止めるのではなく、実際に作ったトランクルームを外部に売却する部分を少し減らし、売上高自体は微増で利益率を厚くしたいという施策です。したがって、利益額は当期純利益で1億3,000万円から1億5,000万円、1億8,000万円と増やしていきます。

物件売却によらずに運営利益を高めることによって、利益率の向上を目指しています。実際に、物件を外部売却することで売上高や売却時の粗利は確保できるのですが、一方でその後のトランクルーム運営に関わる利益の外部流出を招きます。そのため、この施策により外部流出させずに、なるべく自社の中に留めて利益率を上げることを考えています。

4. 今後の事業見通し②-物件の自社保有化

これまでのように物件売却した場合の利益構造としては、物件開発の原価があり、投資家に買っていただく不動産価格との間でいったん利益が上がります。投資家に売却した後は私どもが運営を任せていただくケースがほとんどですが、トランクルームから上がった利益の大半は投資家の方に差し上げて、私どもは管理に関わる部分の利益しかいただきません。そのため、オープン後の利益は社内には大きく残らないかたちです。

これに対し、自社保有した場合には、開発した直後の物件売却による開発粗利はありませんが、その後トランクルームから上がってくる運営事業利益はすべて手元に残り、私どもの利益率の底上げにつながります。このような物件売却による粗利に頼らないかたちの運営部門の強化を目指しています。

今の売上構成比としては、運営部門は26.9パーセントです。上場時には約2割としていた部分がここまできているのですが、これを2027年1月期には38.7パーセントにまで引き上げられると試算しています。このように、売上高は微増ながら利益率を高める施策を3年間の計画として考えているところです。

4. 今後の事業見通し③-中長期的成長戦略

今後のイメージです。私どもは、ほとんどがトランクルーム事業の会社です。今後については、開発事業は私どもの既存事業の主軸のため、新しいトランクルームをきちんと作っていきます。トランクルーム業界全体で年率5パーセント程度の成長があるため、私どもとしてもまだ伸ばしていきたい考えです。

運営事業については、リーシング強化策と出店増加による収益力の強化に加え、外部に売却せず内部に利益を留める取り組みも進めていきます。

当社はまだ規模が小さいため、中期的には今後の価値創出のための新規事業やM&Aも考えていければと思っています。すでに、私どもが社内に持っていないいろいろな運営ノウハウ等を他社との業務提携によって得ているため、そのようなことも含めて新規事業への取り組みを強化していきたい考えです。

会社概要①-経営理念とミッション

会社概要です。私どもの経営理念は「顧客資産の持続的な価値向上を通じて、人々の暮らしや社会の未来を共創する」です。また、私どものトランクルームを利用してくださる方、あるいは不動産を所有する方の両方の満足感を通じて、人々の暮らしや社会の未来を豊かにすることをミッションとしています。

会社概要②-当社の強み

私どもは、トランクルームを運営する力、土地を仕入れてくる力、そして仕入れた土地を投資家に売却し、安定的にトランクルームを運営管理する力という3つの力を競争力の源泉としています。

会社概要③-事業の内容

運営力については、実際に、トランクルームがお客さまにとって利用しやすいものになっています。コンテナ型のトランクルームは空調が効いていない部分もありますが、屋内型のトランクルームはカーペットが敷いてあり、空調があるというクローゼットのような感覚で使っていただけるものです。また、ワインセラーなどいろいろな用途のトランクルームをそろえています。

会社概要④-事業の内容

次に、仕入開発力と物件売却力についてです。こちらは、私どもがトランクルームとしてふさわしい立地の土地を買ってきて作り上げたものを、投資家の方に持っていただく力です。

会社概要⑤-事業の内容

不動産としてのトランクルームの特性です。トランクルームは築年数が古いから貸出しにくいということがないため、経年による賃料の減少が少ないです。そのため、5年や10年経ってもトランクルームとしての商品の劣化が少ないところが一番大きなポイントだと思っています。

また、しまった荷物を動かしにくいためにテナントの定着率が高く、小割にして貸しているため、急激な稼働率の変化がありません。お客さまが出て行った後の原状回復や大規模修繕についても、付帯設備が少ないために費用負担が少ないメリットがあります。したがって、追加投資が少なく安定した収益が見込めます。

一方で、アパート・マンションに比べて、満室になるまで少し時間がかかるところがトランクルームの不動産としてのマイナス面だと思っています。

質疑応答:配当の方針について

「配当の方針を教えてください」というご質問です。

配当については、当然、私どもも株主のみなさまに還元することが必要だと十分認識しています。ただし、まだ成長途上で内部留保も少ない点を勘案し、配当できるかは今後慎重に検討していきたい考えです。

質疑応答:今期の事業計画の背景について

「今期予想は少し強めですが、その理由は何でしょうか?」というご質問です。

1つは、建築価格の高騰で物件の粗利率が多少下がっており、売上高をある程度確保しなければ利益が達成できないという事情があります。

一方で幸いなことに、今日リリースした西新宿まで含めて土地の仕入れは順調に進んでいます。そのため、物件をきちんと作れば、売上高38億円を確保できる見通しがある程度は立っています。

これらを踏まえて、今期の売上高は前期比で10パーセント以上の増加という計画です。

質疑応答:金利上昇による業績への影響について

「金利上昇が予想される状況ですが、業績に与える影響はありますか?」というご質問です。

私どもは借入金が多いため、金利が上がればその分の金利負担が増えると考えています。一方で、不動産の売買には、金利を超えた利益率があります。金利上昇と、コストアップについても、増加分を物件の収益である程度カバーできるようがんばっていきたいと思っています。

また、金利が上がりそうだという観測があったために、3月に土地を売却したいという動きがあり、今までに比べて土地が動きやすくなったというメリットもあると考えています。

質疑応答:現在の株価について

「現在の株価についてどう考えていますか?」というご質問です。

流通株式時価総額が一時5億円を切ったためにご心配をおかけしましたが、本日時点の全体の時価総額は11億1,000万円程度で、流通時価総額も1月末の時点で5億5,000万円程度と、上場基準をクリアしました。

株価については現在、PBRが1.08倍程度で、今後、1倍を大きく超えていきたいと思っています。上がるかどうかは市場次第ですが、まずは事業としてしっかり成り立っていることと、いろいろな提携等も含めて新しい事業への取り組みで投資家のみなさまの理解を得て、株価が上がっていけばと思っています。

また、こうしたIRで事業の内容をご説明する機会も重要だと思っています。

質疑応答:不動産としてのトランクルームの利点について

「不動産の利用として住居やオフィスが考えられますが、それらと比べてトランクルームの有利な点について教えてください」というご質問です。

トランクルームは水回りがないことで初期投資や改修投資が少なく済みます。また、住居等に比べると商品としての経年劣化が少ない点も利点です。

一方で、商圏が狭いため、あまり大きなトランクルームを作れません。不動産の中で、例えばオフィスビルでは10億円や20億円、100億円といった規模のものがありますが、私どものトランクルームの場合は7億から8億円といった規模しか経験がありません。そのようにあまり大きなものが作れないこともあります。

質疑応答:株価を上げるための取り組みについて

「株価が非常に割安だと感じています。今後どのようなアピールを考えていますか?」というご質問です。

このような投資家のみなさまへのご説明の機会、あるいはいろいろな業務提携等でチャンスがあるたびに、私どもの新しい取り組みについてご説明する中で、トランクルーム事業へのご理解を得て、株価が上がっていけばと思っているところです。

質疑応答:エリアリンクの影響について

「エリアリンクが新規出店の勢いを加速しています。御社の将来の出店エリアを先に押さえられてしまうという懸念はないのでしょうか? また、それが事業計画にネガティブな影響を与えるのでしょうか?」というご質問です。

トランクルームが隣り合えば、当然、お客さまを引っ張り合うことになるのですが、私どもは出店する際に、エリアリンクのトランクルームがどのぐらい稼働しているかを大変参考にしています。また、離れたところにあればそこまで食い合う業界ではないため、エリアリンクともある程度は共存共栄の関係にあると考えています。

私どもはもともとデベロップという親会社から派生している会社で、エリアリンクとはいろいろなお取引もあり、活発な意見交換をする場面もあります。日本におけるトランクルームの世帯普及率は、東京都でも2.数パーセント、全国でも1パーセントと、アメリカなどのトランクルーム先進国に比べると依然として低いです。

業界としてトランクルームの利用を増やしていくことに取り組んでいる部分もあり、エリアリンクやパルマといったライバルの上場会社は、利用率向上をともに考えていく仲間でもあると考えています。

質疑応答:今後予定している業務提携先について

「今回の業務提携の他に、今後予定している提携先について教えてください」というご質問です。

現時点で具体的にお伝えできないのですが、すでにいろいろな交渉を始めており、いくつかは今期中に行う予定で話を進めています。一生懸命相談しながら仕込んでいる最中です。

質疑応答:ホテル併設店舗の取り扱いについて

「親会社のデベロップが扱っているホテルを、御社でも取り扱う予定はありますか?」というご質問です。

兵庫県加西市のホテルは、デベロップの開発したホテルを収益物件として私どもがいったん持っている状態です。不動産投資家の方のニーズがあれば、売却することを考えています。

また、ホテル併設店舗については、これまでも7店舗、ホテルの併設したトランクルームを開業しています。こちらの稼働率の上がり方は他のトランクルームに比べて高くなっています。

通常、トランクルームは車などで通りかかって「あそこにトランクルームがある」と気づいてもらえないとなかなか借りていただけません。それに対してホテルは非常に目立つ場所にあり、普段ホテルに出入りする方が「ここにトランクルームがあるんだ」と気がついてくださる機会が多くなります。そのため、ホテル併設のトランクルームは稼働率が非常に高いのです。

そのようなメリットがあるため、デベロップとの協業については今後とも積極的に取り組んでいきたい考えです。

質疑応答:株主還元の方針について

「株主還元の方針について教えてください」というご質問です。

配当については、現在、慎重に検討中です。また、株主優待という方法もあると思っています。証券会社を含め、いろいろな方のお知恵を拝借しながら、どのようなかたちでの配当なのかを考えて、株主のみなさまに還元できればと一生懸命考えている状況です。

質疑応答:中部地区への出店について

「中部地区へは出店しないのでしょうか?」というご質問です。

今まで、たまたま中京圏には出店できていなかったのですが、これから取り組みたいと考えています。今年出店したエリアには、沼津、富士といった静岡県もあり、これからどんどん広げていくつもりです。

本社が千葉県市川市にあるため、どうしても目が届きやすい関東での出店が増えていますが、開発要員も増やしているため、中部地区についてもこれから出店していきたい考えです。

質疑応答:障害者雇用率について

「障害者雇用率を教えてください」というご質問です。

残念ながら、現在は雇用していません。

質疑応答:最近の土地価格について

「最近の土地価格は下落傾向なのでしょうか?」というご質問です。

明らかに下がっている状態ではないと思っています。私どもは土地面積で50坪から60坪、建物の延べ床で200坪程度の土地を探しており、これは大きな企業というよりは中小企業や個人の方が持っているサイズです。12月や3月という決算の境目で売りたい方もいるため、幸いこの3月にいくつか契約できました。

土地価格はそこまで大きく下がっていませんが、やはり金利の上昇を踏まえて土地を売りたい方が多少増えている状況かと思っています。

質疑応答:コンテナホテルについて

「グループ会社で扱っているコンテナホテルについて教えてください」というご質問です。

「HOTEL R9」は、ホテル併設型のトランクルームです。私どもは借地や土地を探していますが、このようなホテル併設型店舗を扱うことでデベロップから土地情報をもらえるというメリットもあります。そのため、今後、ホテル併設案件は増やしていきたい考えです。

質疑応答:ESGやSDGsに関する取り組みについて

「ESGやSDGsに関する取り組みがあれば教えてください」というご質問です。

残念ながら十分な取り組みができていないため、これから取り組んでいきたいと考えています。

質疑応答:トランクルームの空き状況について

「トランクルームの空き状況について教えてください」というご質問です。

2年を超えたトランクルームについては、8割以上の稼働です。できたばかりのトランクルームは稼働率が上がりにくく、2年経たない案件についてはそこまで稼働率が上がっていない状態です。

商業ビルは、通常テナントがすべて埋まった状態でオープンするのが普通ですが、トランクルームは商業ビルや住居ほど必須の設備ではないため、出来上がったトランクルームを見てから「トランクルームを借りてみようかな」というお客さまがけっこういます。すぐには埋まらないというのは、私どもの会社に限らずトランクルーム自体の特性だと思っています。

私どもとしてもなるべく早く埋まってほしい思いで、最初に借りる際のハードルを少しでも下げるために料金を下げるなど、少しでも多くの方に利用していただくための施策をとっています。トランクルーム各社も、3ヶ月間半額にするなどいろいろなキャンペーンを行っています。

実際に一度使っていただくと大変便利で、家の中が非常にすっきりすることから長くお使いいただけるケースが多いです。

質疑応答:第4四半期の収益の基準について

「四半期の損益計算書を見ると、第4四半期に収益が集中しています。こちらの収益の基準を教えてください」というご質問です。

土地の仕入れは、12月から3月に大きく動くという特性があります。そこから設計をして建物を建てると1年弱かかるため、どうしても1月ギリギリに建物が出来上がり、それを売るかたちになります。

今年1月に売却完了した下目黒、西大井、東長崎の3件については、9月には売買契約を結んで投資家の方に売ることを約束したのですが、その後も工事を続け、完成したのが1月でした。このような事情で、私どもは1月を決算期としていることから第4四半期に集中しています。

今期の事業計画でも、今のところの工事の計画では天王町(西横浜)は夏頃出来上がるのですが、その他の案件は1月頃です。そのため、第4四半期に収益・売上が上がる計画になっています。

過去何年も1月にきちんと売り切っており、今期も1月までに物件を完成させて売り切りたいとしてしっかりと事業を行っています。

質疑応答:社長の経歴について

「社長の経歴を教えてください」というご質問です。

大学卒業後、現在の日本製鉄、新日本製鐵という会社に入り、5年ほど経理の仕事をしていました。その後、パルコというショッピングセンターを開発・運営している会社に転職し、経営企画の業務等を行っていました。後半は不動産開発の業務を行い、「浦和PARCO」や「仙台PARCO」の開発業務を担当しました。

この頃から不動産事業に取り組み、その後、寺田倉庫に入社して今から約15年前にトランクルーム事業に初めて接しました。2016年にデベロップグループに入り、2019年からこちらのストレージ王の社長を拝命したかたちです。

不動産業が私のキャリアの約半分で、この15年はトランクルームを含めた不動産業をしています。

質疑応答:社長の株式保有について

「社長はなぜ株式を保有されないのでしょうか?」というご質問です。

現在、役員持株会で保有しています。インサイダーの関係で自分で売買するタイミングが難しいためです。また、ストックオプションもいただいています。

質疑応答:トランクルームの宣伝について

「トランクルームは当初の稼働率が低いですが、宣伝等は行っていないのでしょうか?」というご質問です。

トランクルームの商圏が所在地から2キロメートル程度と狭いのですが、そのエリアではチラシや新聞折込、看板などで宣伝しています。

テレビコマーシャルを流して広く宣伝するかたちではないため目に留まらないかもしれませんが、近くにできた際にはそのようなチラシ等が入る可能性があると思います。

質疑応答:木造建築の安全性について

「木造建築の安全性について教えてください」というご質問です。

建築基準法を満たしているため懸念はないと思っています。当然、消防を含めた対策をとっているため安全性にも問題はないと考えています。実際に利用される方にとっても、鉄骨造、木造建築で見てわかる違いはあまりないと思います。

質疑応答:20坪程度のトランクルームの建設予定について

「都心や山手線内で、オープンハウスが狙っているような戸建て用地に土地20坪程度のトランクルームを作る戦略はあるのでしょうか? さらに大きくしないと厳しいのでしょうか?」というご質問です。

私どものトランクルームはもっとも小さいもので40坪弱の建物型があります。20坪の敷地では、駐車場を確保してエレベーターをつけることがかなり厳しいため、40坪以上の土地が必要です。

市川市内で非常に小さい木造の案件もありますが、こちらは徒歩で来て利用していただくという考えで作っています。そのような20坪ほどの小さいトランクルームは、立地によっては十分できますが、広域から集客する駐車場をつけたタイプは厳しいかと思います。

質疑応答:社員への給与について

「平均年齢が48.5歳で、平均年収が382万円と少ないように思います。給与水準的に優秀なスタッフは集まりづらいのではないでしょうか?」というご質問です。

前期は人員の強化も行いました。現在、少しずつ年収を上げるようがんばっていますが、業界水準から見ると少なく見えるのかもしれません。私としては優秀なスタッフが集まっていると思っており、特に大きな問題にはなっていないと考えています。

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