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決算に投資家失望?半導体銘柄ソシオネクストは買いか。長期投資のプロが「今は耐え時」と判断する理由=栫井駿介

生成AI関連?

ではなぜここまで株価が上がってきたのでしょうか。

考えられることは、ソシオネクストが生成AI関連の銘柄だと思われていたのではないかということです。

生成AIの技術の中で、半導体は非常にコアで重要なもので、確かにソシオネクストは生成AIを動かすためのデータセンターに使われる半導体を設計・製造していたりします。
ただ、直接的に生成AIに使われる半導体はNVIDIAのGPUということになりますし、ソシオネクストは半導体が使われる製品に対して全方位外交を行っています。

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出典:ソシオネクスト決算概要

直近では「データセンター/ネットワーク」の売上が大きくなっていて、もしかしたら生成AI関連も含まれているかもしれません。
特需もここから生まれていたと見られます。

しかし、将来の業績を予想する上で見るべきなのは「NRE売上」の方です。

NRE売上とは…
開発費用として、売上が立つ前に受け取るお金のこと。

NRE売上が立ったということは、その商談が進んでいるということであり、将来的にはこのNRE売上にかなり近い割合で売上高に反映されるということです。

直近のNRE売上を見ると、増えているのが「オートモーティブ」(自動車関連)の需要です。
2023年度のNRE売上では約半分が自動車関連となっています。

つまり、今後のソシオネクストの売上は、データセンターよりも自動車関連の割合が大きくなるということです。

 

ソシオネクストは生成AIの影響を直接的に受けているかというと必ずしもそうは言えないわけです。

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出典:ソシオネクスト決算概要

商談の残高を見ると、オートモーティブの割合がおよそ3分の1となっていて、4分の1くらいが産業機器、データセンター/ネットワークはさらに少ない割合となっています。

おそらく、自動運転に使われる半導体を開発しているものと見られ、今後、自動運転車や電気自動車の需要が大きくなるとしたらソシオネクストの存在感も増してくると思われます。

ただ、開発には2~3年という長い時間がかかるので、目先の商談の状況を考えると、急に業績が伸びてくるとは考えにくいでしょう。
実際にソシオネクスト自身も決算説明資料の中で、2024年、2025年は横ばい・弱含みとなると言っています。

伸びるとしたら2026年度以降ということになります。

しばらくは苦しい

今回の決算の内容を受けて株価はどう動くでしょうか。

2026年には売上が伸びそうだと分かっていても、足元の業績が良くないと投資家は離れていってしまうところがあります。
特にソシオネクストは直近で大きく上がってきた銘柄なので、短期(短気)の投資家が多く入ってきていると見られます。
こういった投資家は足元の業績が良くないとすぐに離れていってしまいます。
よって、実際に横ばいの業績が続くのだとしたら、ソシオネクストの株価はしばらく苦しい状況が続くのではないかというのが私の見方です。

 

もっとも、ソシオネクストは業績予想をかなり保守的に出す傾向があり、直近でも業績予想の上方修正があったように、今期も上方修正が入る可能性も十分にあります。
為替も1ドル=130円を見込んだ予想となっていて、現在は1ドル=150円を超えているので、それだけでもプラスに振れる要因になり得ます。

ただ、大枠ではしばらく苦しい状況が続くかと思われます。

 

PERは約40倍と高い数字となっていて、期待が高い分、成長が横ばいだと40倍のPERを支えることは難しいので、しばらくは苦しい局面になると思われます。

Next: 企業としては優良だが、今は“耐え時”?長期投資家が見るべきポイント

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