中古書籍などの販売を手がける「ブックオフグループホールディングス」の複数店舗において、従業員が様々な不正を行っていた疑いが浮上し、大きな騒ぎとなっているようだ。
報道によれば、同社子会社が運営する複数の店で、従業員が架空の買い取りや在庫の不適切な計上、それに現金の不正な取得を行っていた疑いがあることが発覚したとのこと。そのため同社は25日、その実態を解明するため、外部の弁護士や公認会計士で作る特別調査委員会を設置。今後グループの国内外のすべての店舗で臨時の棚卸しを行うという。
ブックオフグループホールディングスは「本事案が当社の業績に及ぼす影響については、現在精査中であり、開示すべき事項が発生した場合は速やかにお知らせいたします」とするとともに「株主や投資家をはじめ関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけし、心よりおわび申し上げます」とコメントしている。
報道を受けて株価は2年ぶりの日中下落率に
各地のブックオフでは、早くも“棚卸”名目での臨時休業予告が各店に順次出ているいっぽうで、さらに来月16日に予定されていた決算の発表も延期することが決まるなど、従業員による不正が全国的に行われていた可能性も現時点では拭い去れないといったこの件。
その影響も大いにあってか、ブックオフグループホールディングス株は26日の東京株式相場で急落。株価は一時15%安の1,330円となり、約2年前の2022年4月12日以来の日中下落率となったようだ。
現時点では、一部の従業員が架空の買い取りや在庫の不適切な計上を行っていたとのアナウンスだけで、具体的な手口というのは明らかになっていない状況なのだが、“架空の買い取り”というワードから、多くの人が連想しているようなのが、ブックオフ店員による「買い取れませんが無料でなら引き取ります」というある意味での常套句。
ブックオフって「買い取れませんが無料でなら引き取ります」ってよく言い出すから、無料で引き取って買い取ったことにして金を抜くのは組織的でなくても誰でも思いつきそうな気がする。 https://t.co/rINxH5LHdg
— びばのん/馬鹿家元 (@vivanon_iemoto) June 25, 2024
ブックオフといえば、他の中古本屋と比べても買取価格が渋い……といった話をまま聞くわけだが、なかにはそれ以前に買取価格が付かないというケースも。そういった本などに関しては、先述の通り「買い取れませんが無料でなら引き取ります」と、店員が勧めてくるのがいわば定番、ブックオフ利用者のあいだではまさに“あるある”な流れだ。
例えば大量の書籍を持ち込んだ際などは、売れなかったものをまた持ち帰るのもかなり面倒ということで、店員に促されるまま引き取ってもらいといったケースも多いようなのだが、その“無料での引き取り”が、実は裏では買取していたことになっていて、その買取額を店員が着服……といったことが行われていたのではないかと、SNS上の一部では取沙汰されているというのだ。
ブックオフこれやばそうですね…
要は従業員の物を買取したことにして現金を得てたと
わざわざ決算延期するってことは氷山の一角じゃなくて相当数やってるんではhttps://t.co/KSevvkjCQh— Osaka-Subway.com/鉄道プレス (@OsakaSubwaycom) June 26, 2024
ブックオフ「値段がつかなかったものはこちらで無料でお引き取りしますよ??」
ワイ「え?あぁ…(売れなかった雑誌持って帰るのしんどいし、しゃーないか…)んじゃお願いします」
裏ブックオフ「無料で引き取ったけど買取したことにして、その分うちらの懐やで…フヒヒ」ってこと?
— く~さん (@lunatic_coo) June 26, 2024
なんか従業員が買取したことにして金を着服したらしいが詳細不明
— 工場労働者 (@iKFwc22whWdqrPf) June 26, 2024
実際、買い取れないので無料引き取りされたはずの本などが、後日その店に行ってみると値段が付いて売られていた……といったこともよく耳にするということで、そういった以前から累積していた疑いの視線も、そういった話を加速させる格好となっているようなのだ。
ハードオフでも架空仕入れが発覚
いっぽうで、今回取沙汰されているブックオフと、ロゴなどがかなり酷似していることでも知られるリサイクル店「ハードオフ」の一部店舗でも、上記のように商品を買い取ったと装って買い取り価格相当の現金を受け取ったなどの不正行為があったことが、先日同社が公表した調査報告書で判明したばかり。
このケースでは、実際の在庫には存在しない架空取引の商品に関して、そのバーコードのみを印刷・所持しておき、定期的な棚卸時にこれを読み込ませることで、あたかもその商品が存在するかのように偽装していたということ。ちなみに所在不明の在庫はおよそ3,200万円相当にのぼるといい、犯行に手を染めた店長は内部監査中に店を抜け出して、行方不明になっているとのことだ。
ブックオフとハードオフは、両社の創業者同士が個人的に親しかったという経緯があるだけで、現在はもちろん過去にも資本関係にあったといったはなく、ハードオフでの“架空買取”の一件がブックオフでの一連の不正の発覚に繋がった、などといった関連性はまずなさそう。
だが、いずれにしても買取査定といった、客側からするとその実態が窺い知れないシステムが、不正の温床となっていたのは共通しているとはいえそうで、それらへの不信が大いに募る格好となっている今回の一件は、まだその全貌は明らかにはなっていないもの、今後長きに渡って尾を引くものとなることも考えられそうだ。
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