経済対策は的外れ
こうした状況に対して今回の3中全会では必ずしも有効な手立てがなされませんでした。国内産業の現代化、強化、サプライチェーンの強化をうたいますが、民間部門が育って力をつけると、民主化の動きをしたり、政府の統制に反したりすることになって最後には規制を強化するやり方では、育つものも育ちません。
また国有企業を育てるにしても、軍事転用につながるもの、ロシア支援にかかわるものには、米国などから強い規制が課せられます。軍備拡張、ロシア支援が欧米の脅威となっていて、これにつながる国内産業の強化には海外から圧力がかかります。
今回、地方政府の収入源を広げる政策を入れたことは、不動産不況で土地利用権の売却収入が減っている地方政府にはプラスですが、国全体の税収が増えるような経済運営をしないと、地方の収入が中央政府の収入減少につながるだけです。土地制度の改革も不動産の需給が悪い中では容易ではありません。
中央政府は先に1兆元の特別国債を発行しましたが、それ自体、金融緩和とセットで行わないと、民間資金を「クラウディングアウト(排除)」する面があります。しかし、米国がドル金利高、ドル高にあるため、中国は人民元のさらなる下落なしに金融緩和ができません。国債発行も有効に使えない状況にあります。そこで今般企業向け貸出金利を0.1%下げましたが、資産デフレのもとでは効果が限られることは、かつての日本が証明しています。
このため、7兆元規模ともいわれる中国の過剰不動産を政府が買い上げることもできません。また政府は外資の導入に積極的と言いながら、外資に中国の不動産などの不良債権買い取りを渋っています。米国は不良債権ビジネスでオファーをしているのですが、これができないと、中国の不良債権処理も進まず、金融機能の回復も進みません。もっとも、不良債権処理で金融機関、特に国有銀行の資本が痛むと、国の財政負担も大きくなります。
職に就けない若者が「宝くじ」に殺到していますが、最近宝くじが品薄になり、買えなくなっているといいます。この裏には、政府が宝くじの販売を規制し、抑制しているためと言います。金融機関職員が高給をとると、西欧型腐敗のもととして給与を強制的に引き下げます。所得の減少が一層中国のデフレを助長しています。






