ネタニアフは次のように述べている。
「イスラエルが到達できない中東の場所などありません。自国民を守り、国を守るために、我々が踏み入れない場所などないのです。イランが最終的に自由になった時、それは人々が考えているよりもずっと早く訪れるでしょう。その時、すべてが変わります。狂信的な神政主義者の小さな集団に、あなたの希望や夢を潰させてはなりません。あなたはもっと良いものを手に入れるべきです。イランの人々は知っておくべきです。イスラエルはあなた方と共にあります」
これは、明らかにイランの体制転換を目指すとするメッセージだ。つまり、今度はイスラエルは、イラン政府を標的にしようとしているという警告であると思われる。2007年前後から、イスラエルはイランを宿敵として見ており、何度も攻撃する意図を示してきた。しかしその都度、中東における大戦争を望まないアメリカの忠告で、攻撃を自制してきた。しかし、今回のイランの予期せぬミサイル攻撃で、イランの本格的な体制転換を目標にした、イスラエルの大規模なイラン攻撃が実施される可能性も出てきた。
このような中、イランはイスラエルの報復に対して次のような警告を発している。イランの主要紙、「テヘランタイムス」に掲載されたものだ。以下である。
・イラン外相アッバス・アラグチは次のように発言している。「イスラエル政府がさらなる報復を招くような行動に出ない限り、我々の行動は完了する。そのシナリオでは、我々の対応はより強力かつ強力なものとなるだろう」
・イラン革命防衛隊(IRGC)系の複数の報道機関およびTelegramチャンネルは、「イランは米国に警告した。もし我々の精製所を標的にするなら、サウジアラビア、アゼルバイジャン、クウェート、アラブ首長国連邦、バーレーンを含む、この地域全体の精製所や油田に火を放つだろう」と報じている。
イスラエルの報復攻撃が実施され、これでイランの石油関連施設が破壊されると、イランは中東の他の国々の精製所や油田が破壊される。ここまで来ると、第5次中東戦争は避けられなくなるかもしれない。
いまの時点ではちょっと考えにものの、こうした攻撃に対するさらなる報復として、万が一イスラエルの地上軍がイランに侵攻するようなことにでもなれば、イスラエルの最大の支援者であるアメリカも軍事的に巻き込まれることになる。
もしそうなると、中東は手をつけられない状態になる。まさに、イランとイスラエル、そしてアメリカも巻き込んだ中東大戦争だ。
思ったほど強くはないイスラエル
このような大戦争が起こる可能性はあるのだろうか?
イスラエルはアメリカに全面的に支援された強大な軍事力を持つ。イランを始め、イスラエルの軍事力は周辺諸国を圧倒しており、そのようなイスラエルであれば、レバノンの「ヒズボラ」やイランに支援されたシリアやイラクのシーア派武装組織、そしてイランそのものの体制転換すら可能ではないかとの印象を受ける。それをイスラエルは、アメリカに支援された強大な軍事力を使い、大きな戦争を通して実現するので、中東大戦争は回避できないのではないかという認識が広まりつつある。
しかし実際にイスラエルの実力を調べて見ると、そうではないことが分かる。