それでもLINEが「上場ゴール」ではない理由
IPO投資において最も気をつけなければならないのは、いわゆる「上場ゴール」です。上場ゴールとは、創業者がIPOで株式を売却して多額の利益を得ることが目的となってしまい、その後の株価は見るも無惨に下落していく現象のことを言います。
上場ゴールでないにしても、多くのIPO銘柄は公開価格・初値が高くなりすぎるため、バリュー株投資には向いていません。しかし、LINEに関してはそう言い切れない側面があります。
LINEの株主は、韓国の大手IT企業である「ネイバー」です。今回のIPOでネイバーは保有している株を売り出さず、上場後も8割以上の株式を持ち続けます。
つまり、上場時の株式売却により利益を確保する「上場ゴール」には当たらないのです。
ネイバーは韓国最大の検索サイトを運営しています。韓国ではGoogleを上回るトップシェアを誇っている、世界でも極めて異例な企業なのです。
一方で、韓国のドメスティックな会社ですから、収益が伸び悩んでいるのも事実です。
収益が伸び悩むネイバーにおいて、LINEは子会社として重要な役割を果たしています。連結売上高の約4割を占めるLINEは、ネイバーにとって手放すことのできない重要な子会社なのです。
グループの成長を考えると、ネイバーはこれからも責任をもってLINEの成長を見守っていくと考えられます。LINEの上場はゴールではなく、公募増資によって成長資金を確保するための手段なのです。