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赤字発覚のLINEが「上場ゴール」ではない合理的な理由=栫井駿介

スマートフォンのメッセージングアプリとして有名なLINEがついに上場することになりました。想定される時価総額は約6,000億円と、今年度で最大になるとみられています。一方で昨年度の利益は赤字であり、手放しで投資できる状況でもありません。バリュー株投資の観点から、LINEへの投資について考えます。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

2016年7月15日に日米同時上場、営業赤字80億円をどう見るか

前期の業績はまさかの赤字

LINEの事業内容は、以下の東京証券取引所のサイトから読むことができます。
LINE株式会社 上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)[PDF]

上記の資料によると、昨年度の売上高は約1,200億円、純利益は約80億円の赤字です。これだけ有名なIT企業でも赤字になるというのは意外な感じがします。

2014年度は約120億円の黒字を出していましたが、上場が遅くなってしまい、結果的に赤字決算で上場せざるを得なくなりました。一部報道では上場の絶好のチャンスを逃したとも言われています。

スマートフォンのヤフーを目指せ!

しかし、それで評価が下がるなら、バリュー株投資家にとっては大きなチャンスです。LINEは国内のスマートフォンの約9割にダウンロードされていると言われており、他のアプリを引き離し圧倒的な状況です。詳細については以下の記事をご参照ください。

【関連】LINEの強みと儲けのしくみ 上場控え、立ち入り検査の影響は=栫井駿介

インターネットの世界では、最初は無料で使うことができ、そこから広告や様々な有料サービスで収益を獲得していく「フリーミアムモデル」が主流です。LINEも例外ではなく、今はまだ多くのサービスを無料で提供している段階です。

LINEが経済的な優位性を確保するためには、スマートフォンが主流になる社会においてどれだけ人々の生活に浸透できるかが重要です。みんなが引き続きLINEを使い続けるならば、経済学の用語で言う「ネットワークの経済性」が働き、独占的な市場を形成することが可能です。利益を出すのはそれからでも遅くありません。

同じような方法で市場シェアを獲得してきたのが、インターネット黎明期から独占的な立ち位置を築いてきたヤフージャパンです。ヤフージャパンの主な収益源は広告であり、様々な有料サービスも順調に推移してきます。その結果、19年連続の増収増益を達成しています。

LINEが掲げるプラットフォーム戦略が成功するならば、その後は安定した利益を創出し、高い企業価値を実現することが可能です。投資家は、それを見極められるかどうかを問われているのです。

Next: それでもLINEが「上場ゴール」ではない理由

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