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米国株の神・中島聡は大手VC「a16z」のAI企業出資をどう評価する?見解と未来予測

「米国株を買うなら中島聡のメルマガを見ろ」と投資家の間でも評価されている中島聡氏。
そんな中島氏に直接質問できる貴重な場所が、『週刊 Life is beautiful』です。
今回は「質問コーナー」から、Andreessen Horowitz (アンドリーセン・ホロウィッツ、以下a16z)の出資についてや政府による投資についてなど、その内容の一部をご紹介します。

※有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』好評配信中。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

質問:AI時代における機械式時計の価値について

中島様はAIやブロックチェーンといった新しい技術が隆盛する中で、機械式時計の価値は今後どのように変化していくとお考えでしょうか?

コロナ禍で高級機械式時計市場が高騰し、ロレックスやパテックフィリップ、オーデマピゲなどは定価・中古価格ともに高止まりしています。機械式時計は、高度な技術の結晶であり、時計技術者の不足やスイスの人件費の高騰を考えると、このトレンドは今後も続くようにも思えます。

一方でデジタルNFT時計が出てきたり、AI・ロボットが機械式時計の製造コストを下げられる可能性、景気後退によるそもそもの高級品需要の減退等も考えられます。

中島様ご自身は、投資先として時計を検討されたことはありますでしょうか?

《回答》
私の知り合いにも機械式時計のコレクターがいますが、実用性・コストの両面でデジタル時計やスマートフォンに負けているので、「アート」「コレクターズ・アイテム」として存在し続けるのだろうと思います。

音楽マニアの一部に、真空管を使ったアンプや、アナログ・レコードの音を楽しむ人がいるのと同じです。

製造する会社も作れる職人も激減しているので、値段が高騰するのは当然と思いますが、投資対象としては、投機性が高すぎて私には手を出せません。

質問:今後外国語を学ぶ価値はどのように変化するか

『ドラえもん』に登場するひみつ道具「ほんやくコンニャク(あらゆる言語を自国語として理解できるようになる翻訳機)」のような通訳アプリはいずれ誕生するかと思いますが、それに伴い、外国語を学ぶ価値はどうのように変化すると思われますか?価値は下がる?価値は一層高まる?

《回答》
ChatGPTのAdvanced Voice Modeを使えば、既に同時通訳に近いことは可能だし、複数の会社が同時通訳ソフトを開発中で、それが来年には出揃い、人間の同時通訳を超えるのも時間の問題(たぶん3年以内)だと思います。

その結果として、同時通訳ソフトを使って、海外旅行を楽しむ人、国をまたいだ仕事をする人が増えるでしょう。

外国語を学ぶこともAIを活用すれば、より安く・効率良く出来るようになるとは思いますが、それなりの努力が必要なので、それを利用して多国語を話せるようになる人が爆発的に増えることはないと思います。

質問:エッジの効いたソリューションで市場を攻めるビジネスモデルについて

アンソロピックのMCPを試したところ、DB接続機能など非常に魅力的で、技術的な進化が楽しめました。

しかし、頻繁な新機能追加やバージョンアップを考えると、SaaSとしてのビジネスモデル構築よりも、企業ごとに特化したエージェントモデルを提供する方が適しているのではないかと感じました。

特に、中小企業向けに専門性を絞り込んだエッジの効いたソリューションで市場を攻めるビジネスモデルについて、中島さんのご意見を伺いたいです。

《回答》
私は、MCPに大きなポテンシャルを感じています。MCPがオープンプロトコルとして普及すれば、さまざまなサブシステムとのインテグレーションそのものを、LLMに対して自然言語で依頼できるようになるので、従来型のソフトウェアにありがちな、インテグレーション(もしくはカスタマイぜーション)に必要なコストと時間を不要に出来るからです。

ちなみに、MCPは決して「中小企業向けに専門性を絞り込んだエッジの効いたソリューション」と相反するものではなく、そんなソリューションを提供する際のインテグレーション・コスト(既存のシステムとの繋ぎ込みコスト)を大幅に提言してくれると期待しています。

質問:a16zの出資について

このメルマガでも生成AIを使った画像の作成や英語の制作に触れられていたと思いますが、ついにa16zが「Promise」というAIプロダクション会社に出資しました(参考:https://a16z.com/announcement/investing-in-promise/)。

ただ個人的にまだ現在の映画のクオリティに達するにはまだ時間がかかるのではないかと思っております。

それとも、今のAIの発展のスピードを見ると数年後には実写の映画と見分けがつかないレベルに達するのでしょうか?

また、a16zの今回の出資に関してどう思うか中島さんのご意見をお伺いしたいです。

《回答》
a16zらしい投資だと思います。生成系AIはもの凄い勢いで進化していますが、競争原理のおかげで高性能なモデルに安価にアクセス出来るようになりました。そうなると、生成系AIを活用したメディア・コンテンツ・ビジネスが、既存のビジネスとを脅かすことになるのは明らかです。

a16zはそこに目をつけてPromiseに投資をすることを決めたのだと思いますが、数ある競合の中からなぜPromiseを選んだかについては、紹介していただいた記事を読むのが一番だと思います。ですが、Promiseが開発している、最新の生成系AIモデルを活用したコンテンツ開発ツール、MUSEに価値を見出したと考えて良いと思います。

質問:政府による投資について

先日、日経新聞で「ラピダスに政府が2000億円出資案 25年度、量産支援」というニュースを読みました。

国が出資するのは全てダメとは考えませんが、これはあまりいい将来が見えてきません。中島様はどのような感想をお持ちになった教えてください。

《回答》
この話は少し前に書いた記憶がありますが、この手の政府による投資は、政府側の担当者に当事者意識が欠けている上に、投資される側も甘えてしまうため、失敗する可能性がとても高いと思います。

そもそもベンチャー投資は、大半が失敗するハイリスク・ハイリターンな投資ですが、競争原理を働かせることにより、自然淘汰で勝者を選び出すからこそ、トータルとして大きなリターンが得られます。

政府によるこの手の投資には、競争原理や自然淘汰の仕組みが働かないため、そもそも失敗する可能性が高いし、失敗しても誰も責任を取らない「他人のふんどしで相撲を取る」状態になってしまうのです。

なぜメルマガ「週刊 Life is Beautiful」なのか?【初月無料】

中島聡氏のメルマガは、読者が直接質問できる「質問コーナー」が人気で、まるで彼の頭の中をのぞくような感覚を味わえます。質問コーナー以外にも、中島氏の近況報告や最新AI技術の専門的な解説、彼が注目した記事への考察など、多彩な内容が満載。月額880円で2万文字以上の濃密な情報が読めるうえ、初月は無料。月の途中からの購読でも全ての号が届くので、まずは気軽に試してみてはいかがでしょうか。

以下では中島聡氏のことをよく知らない方のために、彼がどのような人物なのかを改めて簡単に紹介します。

米マイクロソフトでWindows 95、Internet Explorerなどを開発

中島聡さんは、日本で初めて米国マイクロソフトに転籍した天才エンジニアとして知られ、「Windows 95の父」とも称されています。1985年に早稲田大学大学院を卒業しNTTに入社するもすぐにマイクロソフト日本法人に転職。その後1989年に米マイクロソフトに移り、Windows 95やInternet Explorerの開発に携わり、「ドラッグ&ドロップ」や「右クリック」機能の実装を手掛けています。中島さんは、その後もマイクロソフトで重要な役割を果たし、技術の進化に大きな影響を与えています。

新NISA民にも人気、伸びそうなベンチャー企業を見極める先見の明

今後成長しそうなベンチャー企業の分析にも定評があり、ここ最近は「米国株を買うなら中島聡のポートフォリオを真似すればいい」「投資家たちはまず中島聡のメルマガを読め」とまで言われ、米国株戦略を参考したい投資家や、今年になって投資をはじめた新NISA民からの登録が激増しています。

中島聡 伝説1:2014年にNVIDIA株購入

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今年時価総額が3兆円ドルを超え、米マイクロソフトや米アップルを抜いて世界首位に躍り出たNVIDIA株を2014年時点で購入している(分割前、1ドル以下)。その後NVIDIAの株価は200倍に。彼の注目する株の銘柄には、先見の明があり、同じ個別株を保有するだけで稼げるとまで言われるほど。

中島聡 伝説2:2016年にテスラ株購入

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彼は2016年にテスラのモデルXを購入した際、その金額と同額のテスラ株を購入し、現在も保有しています。テスラはその後、2020年には株価20倍、時価総額でトヨタを超えたと話題になりました。

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中島聡 伝説3:2019年にZOOM株購入

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コロナ禍で脚光を浴びることになった「Zoom」を提供するZoomビデオコミュニケーションズの将来性を早い段階から見抜き、いち早く投資。

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