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高配当株とREIT、長期投資家はどちらを選ぶべき?メリット・デメリットと有効な投資戦略を解説=佐々木悠

それでもREITに投資するメリットって…?

ここまでの定量的な分析では、高配当株の成長性が際立っていることが分かりました。一方で、2025年1月現在、REIT指数は下落を続けており、その結果利回りが上昇しています。この点から、REITが魅力的な投資機会である可能性も考えられます。

ここでは、定性的な観点からREITに投資するメリットを考えていきます。

<様々な切り口で見る「安定性」>

REITの投資対象は、基本的に不動産です。例えば、日本最大のREITである日本ビルファンド投資法人は、新宿三井ビルディングなどのオフィス用不動産を所有しています。

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REITはこれらの不動産を運営・管理するものの、追加の開発行為は行えません。
この特徴は一見成長を妨げる制約のようにも見えますが、逆に言えば「変な戦略によるリスクを回避できる」という強みとも言えます。
大規模な投資や新規事業に伴う失敗リスクが少ないため、利益が大きく減少するリスクは限定的です。

また、不動産そのものの特性も重要です。特にオフィスビルや住宅といった不動産は、急激に需要が消失することは考えにくく、現物不動産が持つ安心感もREITの安定性を支える要因となっています。

以上を踏まえると、「大きな利益を求めるわけではないが、安定した分配金収入を得たい」という投資目的を持つ場合、REITに投資する価値は十分にあると言えるでしょう

「REITはゴミ箱」は本当か?

J-REITは、その歴史の中で「ゴミ箱」と揶揄される時期が何度かありました。
これは、上場スポンサーである不動産会社や商社が、都合の良い物件を系列REITに売却することで、自らの財務を改善しつつREITを利用してきた経緯によります。

この背景には、REITはスポンサー企業(多くの場合、不動産会社や商社)によって支えられていますが、そのスポンサーが自社の不要物件をREITに高値で売却することが頻繁に行われていました。特に、REITには購入を拒否する選択肢がなく、「買わされる」構図が生じていたのです。

投資家の視点から見ると、スポンサーの方が力関係が上ですから「魅力的ではない物件を押し付けられる」状況が、「ゴミ箱」と揶揄される原因だと言えます。

実際、不動産バブル崩壊後、築古や立地が悪い物件を財務改善のためREITに不動産を押し付けた時期がありましたし、リーマンショック後には市場に溢れた低質物件がREITに大量に買い集められたこともありました。

 

ただし、現在はゴミ箱とも言い切れず、確実に賃料を稼ぎつつ時には第三者に売却したり、スポンサーがREITの物件を買い戻すこともあります。

したがって、ゴミ箱というのはやや過剰な表現であり、スポンサーとのパートナー関係という認識が適切だと考えます。

Next: 結論、高配当株・REITどちらに投資するべきか?

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