実質国内総生産(GDP)の成長率は経済活動の重要な指標であるが、公式推計値は遅れて発表される。「アトランタ連銀」の「GDPNow予測モデル」は、アメリカの経済分析局が使用する手法に類似した手法でGDP成長率を推計することで、公表前の公式推計値を提供する。
「GDPNow」はアトランタ連銀の公式予測ではない。測定された四半期の入手可能な経済データに基づく実質GDP成長率の推定値である。
そのような「アトランタ連銀」の「GDPNow」だが、2025年第1四半期の実質GDP成長率(季節調整済みの年率)の「GDPNowモデル」による予測は、3月3日時点でなんと-2.8%となっており、2月28日の-1.5%からさらに悪化していることが明らかになった。以下が発表されたグラフである。急激なGDPの下落に驚くばかりだ。

アトランタ連銀のGDPNow予測値グラフ
「米国勢調査局」と「供給管理協会」が今朝発表した内容を受けて、第1四半期の実質個人消費支出成長率と実質民間固定資産投資成長率の予測は、それぞれ1.3%と3.5%から0.0%と0.1%に下方修正されてもいる。
現時点では、「CNN」さえも「日を追うごとに経済は安定感を失っている」と認めるありさまだ。さらに、3月1日に発表された「ブルームバーグ」のデータによると、小売売上高は1月に0.9%減少し、エコノミストの予測(0.2%減)を上回った。これは2024年1月以来、小売売上高の月間減少率としては最大となった。
住宅市場の下落と自動車ローンの延滞率
このような米経済が不況に入ったことを示すデータは、経済のあらゆる分野に及んでいる。その一つは、経済のもっとも重要な指標の一つをされている住宅市場の動向だ。
中古住宅購入契約件数は、住宅購入希望者が住宅ローン金利と住宅価格の上昇に阻まれ、1月には過去最低を記録した。
「全米不動産協会(NAR)」は3月1日、署名済みの契約に基づく住宅販売保留指数が先月4.6%減の70.6となり、過去最低を記録したと発表した。「ロイター通信」が取材したエコノミストらは、1~2ヶ月後に販売される契約が1月に1.3%減少すると予測していた。住宅販売保留件数は前年同月比で5.2%減少した。
さらに、1月には保留中の住宅販売の約7件に1件がキャンセルされた。これは、少なくとも2017年以来、この時期としては最も高いキャンセル率である。
特に米国南東部では、住宅購入のキャンセルが増加している。1月に取り消された米国の住宅購入契約は4万1000件余りで、その月の契約締結住宅の14.3%に相当する。これは前年同月の13.4%から増加しており、少なくとも2017年以来、この時期としては最も高いキャンセル率である。
また、サブプライム層(信用力の低い借り手)における60日以上の自動車ローン延滞率は、2024年12月に6.56%に達し、過去最高を記録した。これは、2024年11月の6.01%、2023年の6.27%から上昇している。
楽観的な公式データで隠蔽されていたものの、すでに経済の悪化はバイデン政権の頃から明らかになっていた。バイデン政権の末期には、経済の勢いは悪い方向に向かっていたので、今回発表になった厳しい数値は、経済の悪化がさらに加速していることを示している。
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