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トランプ関税で米国内も大混乱…始まった深刻な不況と「ふさわしくない市民」の排除=高島康司

米国の消費者心理は3月に3か月連続で下落し、トランプ大統領就任前の2024年12月から22%下落したことが、新たな調査で明らかになった。

ミシガン大学の調査によると、消費者心理指数は今月、29か月ぶりの低水準となる57.9まで落ち込んだ。この指数は、参加者の個人資産や株式市場の将来に対する期待が低下していることを示している。また、多くの人がレジでの価格上昇を心配している中、アメリカ人はインフレが悪化すると予想していることも示している。

この結果、最近の調査では、経済が悪化していると考えるアメリカ人の割合は、経済が良くなっていると考えるアメリカ人の割合の2倍以上であることが分かった。「エコノミスト誌」と「YouGov」が実施した最新の世論調査によると、回答者の48%が景気悪化を信じていると答え、19%が景気回復を信じていると答えた。

不動産と銀行の下落

米経済の悪化懸念を反映して、不動産市場の下落も止まらなくなっている。そのため伝説的な投資家のウォーレン・バフェットは、全米第4位の不動産仲介業の売却を検討している。

また、「ウォールストリート・ジャーナル」によると、全米最大の不動産仲介会社、「コンパス」は、業界第4位の規模を誇る「バークシャー・ハサウェイ」の「ホームサービス・オブ・アメリカ」の買収に向けた最終交渉に入っているという。

言うまでもなく、住宅市場の混乱は金融機関に大きな打撃を与えている。

ウォールストリートの大手投資銀行である「モルガン・スタンレー」は、今月末に約2,000人の従業員を解雇する計画であることが分かった。匿名を条件に語った関係者によると、ファイナンシャル・アドバイザーを除く従業員の2~3%の削減は業務効率の改善を目的としたものであるという。

消費者心理の悪化によって小売業の落ち込みも時間を経るごとに深刻になってきている。

安売り大手の「ドル・ジェネラル」は、先週の第4四半期の収益報告で、2025年第1四半期中に「ドル・ジェネラル」96店舗と系列店の「ポップシェルフ」45店舗を閉鎖し、さらに「ポップシェルフ」6店舗を「ドル・ジェネラル」店舗に転換する計画を発表した。

小売業全体では、2025年には米国でおよそ15,000店舗が閉店する見通しである。この予測が正しければ、それはまったく新しい過去最高記録となる。

こうした状況を見ると、金融危機から始まった2008年と2009年の深刻な不況が再び繰り返される可能性が大きくなっているのが分かる。心の準備をしておいたほうがよいかもしれない。これから先は、荒波の航海になるだろう。

怒りの拡大はあるか?

さて、これがいまのアメリカ国内の状況だ。「グリーンカード」を保有する合法的な移民、そして一般の米国民が、トランプ政権が定義するアメリカ人のイメージに合わないとして、国外に退去させられている。また、イスラエルの蛮行に反対する学生が、収容施設に収監されることも起きている。今後もこの混乱は続くはずだ。

Next: 膨れ上がるトランプ政権への怒り……世界の変化に日本は適応できるか?

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