「金融」から「軍需」へ。もう1つの危険すぎる動き
もう1つ、長期的な問題としては、米国のネオコン勢などが欧州市場を混乱させるべく、揺さぶりをかけていますが、その背後には「金融を利用した利益」から「軍需など実弾による利益」にシフトする動きが指摘されています。
すでにロックフェラー系の格付け機関S&Pが英国の格付けを一気に2段階下げました(欧州系のフィッチは1段階にとどまっています)。
これまでは金融市場中心の稼ぎを前提に、相応のルールや補助を与えてきましたが、すでにこの流れが徐々に修正されつつあります。米国での「ボルカー・ルール」もその一環ですが、今回の事件がこの流れを加速させる可能性があります。
欧州大手金融機関に要注意
すでにフランスやドイツの大手銀行株は、歴史的な低水準にまで下げていますが、英国やスイスの銀行株も下げが目立ちます。米国が攻めているとすれば、米系の金融機関よりも欧州の金融機関のリスクが大きくなります。市場は薄々それを感じているかのような反応です。
ここまでは目に見えない不安におののいている面がありますが、大手金融機関の経営行き詰まりが表面化すると、金融危機が一気に広がります。欧州の大手金融機関の状況には、十分目を光らせておく必要があります。
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『マンさんの経済あらかると』(2016年6月29日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。