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ダイキン、なぜ株価復調?利益率回復とAIデータセンター特需で再浮上。長期投資家が持つべき視点とは=佐々木悠

空調業界のグローバルリーダー「ダイキン<6367>」について解説します。足元の株価は好調に推移していますが、以前は厳しい状況にあると報じられた時期もありました。いったい何が起こり、どのようにして回復基調に乗ったのでしょうか?そして、今後は何が期待されるのでしょうか?(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)

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プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

ダイキンの業績推移と現在の課題:好調な売上と「稼ぎ方」のジレンマ

ダイキンの業績は基本的に右肩上がりで非常に好調と言えます。売上高は約4兆7,000億円、営業利益は約4,400億円に迫る水準まで伸びています。さらに、2026年3月期には売上・営業利益ともに過去最高を達成する見込みであり、業績上は大きな問題が見られないように見えます。

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出典:マネックス証券

しかし、課題もありました。それは「営業利益率」です。 業績は好調であるにもかかわらず、「稼ぎ方」があまり良くないと指摘されていました。

>2010年代後半には11~12%程度あった営業利益率が、徐々に低下。株価が好調だった2022~2023年頃は10%前後の営業利益率でしたが、足元では8%程度まで下がっていました。

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出典:マネックス証券

このように、好調な業績とは裏腹に、営業利益率の低下がダイキンのこれまでの問題点として挙げられていました。

ダイキンのグローバル戦略:地域密着型「市場最寄り化戦略」とは?

ダイキンは大阪に本社を置く企業ですが、その売上構成比を見ると、圧倒的にアメリカ市場が大きくなっています。全体の34%をアメリカが占め、日本、ヨーロッパ、アジア・オセアニア、中国が続きます。このため、ダイキンの業績はアメリカ市場の動向に大きく左右されます。

ダイキンが採用している戦略は、一言で言えば「市場最寄り化戦略」です。これは、販売する地域の近くで製品を製造し、そのまま販売するというものです。例えば、日本で売られるものは日本で、アメリカで売られるものはメキシコなどで、ヨーロッパで売られるものはヨーロッパで生産されています。

この戦略は、空調事業の特性に深く関連しています。

<地域ごとのニーズの違い>

各地域で求められる機能が大きく異なります。

  • 日本
  • 省エネ性、快適性、湿度調整(気温を大きく下げずに湿度を下げる機能など)。

  • アメリカ
  • 個室ごとではなく、ビル全体で空調を一括管理するシステムが一般的。

  • 中国
  • 内装へのこだわりから、高級志向で見た目が鮮やかなエアコンが好まれる。

  • ヨーロッパ
  • 環境重視の傾向があり、銀色のメッキ加工された外観が好まれる(日本の一般的な白色とは異なる)。

<気候変動や災害への対応>

各地域の気温や気候は常に変化します。地産地消の体制により、特定の地域で急な暑さが訪れればその地域の工場稼働を上げるなど、タイムリーな商品供給が可能になります。

ダイキンは世界27カ国、90カ所に生産拠点を持ち、こうしたきめ細やかな販売体制を構築しています。

Next: 冷媒規制と市場の読み違いで失速も、どうやって回復した?

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