株式市場の上昇は、株を保有している者に利益をもたらしている。恩恵を受けているのだ。それも大きな恩恵だ。投資家は、大きな値上がり益や配当収入を得ている。今まさにそれが起きて投資家を潤し、経済格差を広げようとしている。
日本の家計金融資産の過半は現金や預金に偏って、株式や投資信託に資金を振り向けている層は限定的だ。このため、株高の利益を享受できる人と、まったく恩恵を受けない人の差が拡大するばかりとなる。
どうすれば良かったのかは明白だ。株価が上昇する前に、株式を保有しておかなければならなかったのだ。
このメルマガでは「株を保有していないと、現在の資本主義では生きていけない」と書いているのだが、株式市場が最高値を付けてている今になってそれに気づいても遅い。株式市場が上がる「前」に、そこにいなければならないのだ。
株価が上がったら企業が従業員にトリクルダウンしてくれるなど思ってはいけない。企業は粛々と内部留保を積み上げ続けている。要するに、企業は利益を労働者に分配するよりも、投資や将来の備えに回している。
結果として、株主には配当という形で資金が還元されるが、従業員の実質賃金には反映されず、事実上の「無視」である。つまり「株を持っているか否か」が経済的な格差を決定する要因になっている。
株を持たない層が「恩恵を実感できない」と感じるのは当然である。株高の果実は投資家に分配される。とすれば、さっさと投資家になっていればよかったのだ。もう一度言う。
この状況を見越して、さっさと投資家になっていればよかった。
株や不動産といった資産を持たない層は?
株式や不動産といった資産の価格が高騰すると、それを持つ者と持たない者の差は一気に広がる。これが、資産インフレの本質である。
現在の日本は、まさにその局面にある。
株価は史上最高値を更新し、都市部の不動産価格も上昇を続けている。国土交通省が発表した公示地価では、全国平均は前年比で3年連続の上昇となり、特に東京都心や大阪など大都市圏では商業地の価格が急騰している。
こうした資産価格の上昇は、すでに保有している人の資産を膨らませる一方で、これから買おうとする人を遠ざける。資産を持っているか否かが、生活の安定度や将来の見通しを決定づける。
問題は、この資産バブルが社会全体に均等に振り分けられないことだ。
株式を持たない層は株高の恩恵を直接受けることができない。さらに、住宅を購入していない層は不動産価格の上昇により持ち家を持つ機会を奪われる。家賃も上がっていくだろうが、それは大きな負担となって家計を圧迫する。
資産を保有している人は資産価値の上昇でさらに豊かになる。だが、資産を何も持たない人は、生活の余裕を失っていく。