労働収入のある現役時代から「どんぶり勘定」で生活している人は、老後破綻の危険があります。住宅修繕費、介護資金など、想像していなかった出費があるたびに家計が傾きます。(『教育貧困にならないために』川畑明美)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。
家の修繕300万円で老後破綻も
労働収入があるうちは「どんぶり勘定」でも生活はなんとかなります。
しかし、年金生活になるとそうはいきません。会社員時代の夫の収入が高くて遺族年金もある程度あり、預貯金も十分に残っている家計でも、生活が苦しくなることがあるのです。
例えば、住んでいる家が老朽化して修繕をしたら「預貯金がほとんどなくなってしまった」ということもあります。
築30年以上の戸建てでは、水回りが老朽化や故障すると、修繕に300万円以上かかることもあるからです。
「生活設計なし」が55.7%!半数以上が老後破綻予備軍
年金生活になってもどんぶり勘定なのは、かなり危険です。
公益財団法人 生命保険文化センターの調査「令和元年度 生活保障に関する調査《速報版》」をご紹介します。
(1)生活設計の有無
自分自身や家族の将来をどのようにしたいか、そのための経済的な準備をどうしたらよいかといった、具体的な生活設計を立てているかをみると、「生活設計あり」と回答した人は37.0%、「生活設計なし」とした人は55.7%となっている。前回と比較すると、大きな差はみられなかった。
半数以上の方が「生活設計なし」と答えています。同調査では、どうして生活設計しないのかも聞いていますが「経済的余裕がないから」の回答が30.3%でした。
経済的な余裕がない人ほど、生活設計をしないと老後破綻まっしぐらです。
預貯金があれば家の修繕など想定外の出費にも対応できますが、もし預貯金もなければ、借金するしかありません。
水回りの故障は生活に支障が出ますので、修理しなければ住むこともできません。借金できればまだ良い方で、ローンを組めない場合もあるでしょう。
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