正しい政策ではなく儲かる方向に賭ける
投資家は民主主義者ではなく、資本主義者でなければならない。政策の好き嫌いを論じるのではなく、政策が市場にどのような投資マネーの循環を生むのかを理解して、うまく立ち回る。
正しい政策に賭けるのではない。儲かる方向に賭ける。
これが重要な点だ。金融政策は投資家にとっては利用すべき対象でしかない。それをうまく利用することこそが資本主義者なのだ。現代社会は民主主義で動いているのではなく、資本主義で動いているので、資本主義者になったほうが100倍も得だ。
もちろん、人は誰でも政治に意見を持っている。だが、投資において重要なのは自分の意見ではない。市場から具体的な利益を得ることである。政策に対する怒りや支持の言葉は、それ自体は「ただの消費活動」にすぎない。
投資とは消費ではなく、自分が損をしないように資本を移す活動である。
結局のところ、人は2種類に分かれる。政策を語る者と、政策を利用する者だ。利益を出すのは後者である。政策に感情を乗せるか、それとも材料として冷静に扱うか。その分岐点が、うまく資本主義の社会で生きていけるかの差となる。
ちなみに、私が重視しているのは「日本政府はカネをばらまくのか引き締めるのか」「日銀は金利を上げるのか下げるのか据え置くのか」の2点である。なぜなら、私はドル資産を保有しているので、ドル高円安になってくれれば資産が膨張する。
とすれば、私が支持するのは「日本政府が円の価値を低下させてくれること」である。つまり、政府はじゃんじゃん円を刷り、日銀は利下げで金融緩和をしてくれたら私は得することになる。
ただし、それを際限なくやられると円の生活者としては不利になるので、ほどほどな円安が心地良いということになる。今は少し円安に振れすぎていると思うので、もう少し円高になって欲しいとは思うが、どちらにしてもうまく立ち回りたい。
そのために政府と日銀の政策を見ている。自分の資産のためだ。
私は積極財政を支持する発言をあちこちでしているのだが、そうしてくれれば私の資産が増えるからに他ならない。もし、あなたが積極財政を支持したいなら、ドルを保有してからにしないと馬鹿を見る。
市場は意見で動かない。資金フローで動く
市場の価格を動かす要因は、政治家の発言や評論家の主張ではない。実際に資金がどこへ流れたかという事実である。株式市場、債券市場、為替市場はいずれも資金がどこからどこへ移動しているかで価格が決まる。
今起きている「円安」は、要するに円からドルに資金が動いていることによって発生している。この資金フロー(資金の流れ)が起きると、今度は円安で儲かる企業が一番おいしい局面になるので、輸出企業やインバウンド関連に資金が流れ込むという動きも起こる。
今、日本ではインバウンド公害が深刻化しているのだが、資本主義の中での資金フローはそんなことはいっさい考慮しない。ただ単に、儲かると思われる方向に資金が流れていくだけだ。
つまり、「この政策は正しい」とか「間違っている」とか叫んだところで自分の資産には何のインパクトがない。こうした資金の流れは、政治的立場や経済思想の正しさとはまったく関係がない。