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お祈り投資法からの卒業と「試食のススメ」分割売買のメリット=林知之

「お祈り投資」からの脱却に分割売買を活用せよ

では、「なんとなく手がけた」場合、実践者の内面はどのような状態になるでしょう。たまたまつくったポジションが利益になることを願う…それだけです。刻一刻と変わるマーケットを評価し直すことなどなく、「上がってくれ~」とか「もう下げてくれよ」とお祈りするだけの状態です。

トレードから離れた例を出しましょう。貴重な休日を使い、以前から楽しみにしていた山登りに出かけたとします。せっかくの余暇、せっかくの山登りですが、山の天候に逆らうことはできませんから、懸念材料があるだけで中断、あるいは計画の大幅な変更もやむを得ません。命がかかっていることですからね。

トレードには、命の次に大切なカネがかかっています。山の天候と同じように、相場に抗うことはできません。祈ってもムダですし、どんなに頑張っても、個人投資家には状況を変える力などありません。ダメだと思ったらあきらめ、被害を最小限にとどめる努力をするだけです。ダメな勝負に時間やエネルギーを費やすことなく、とっとと撤退して次のチャンスを探すのが正解ということです。

こういう、落ち着いた考え方から生まれたのが、分割売買の技法です。

いくら考えても、相場の先行きをズバリ当てることは至難の業。「それならば、様子を見ながらポジションを増減させよう」ということです。多くの人が「そんな方法があるの?」と驚くのですが、ビジネスに限らず日常生活にもある、ごく当たり前の対応です。

まずは試して、ダメならすぐ切る

分割売買と同じ狙いを持つ、ふだんの行動について、例を挙げてみましょう。

  • 車を買う前に試乗する
  • 結婚を考えている相手とデートを重ねて交際する
  • 新商品をアンテナショップに並べ、売れ行きなどをチェックする
  • 料理で、調味料を少なめに入れ、最後に味を調える
  • 宴会の幹事が、予約する前に一度、候補の店に行く
  • ペンキ塗りで、目立たない場所を使って試し塗りする

どんな分野でも、どんな立場でも、「まずは試しにやってみる」というのが当然なのですから、ましてやトレードでは、積極的に取り入れるべき行動指針です。

分割で仕掛ける場合、初期段階のポジションを「試し玉」と呼びます。例えば総量1万株の場合に、まずは千株買ってみる(売ってみる)のが試し玉です。「よしいける!」と徐々に増やした場合、2回目以降、あるいはもう少し先からは、試し玉に対して「本玉(ほんぎょく)」といいます。予定通り1万株になったとして、最初の千株だってポジションの一部で総量の1割を占めるのですが、あえて「試し」と分類することで、「ダメそうならば、とっとと切ってやり直す」という姿勢を確認しておくのです。

超短期のトレードは、どうしても単発的になりがちで、試し玉と本玉に分けて考えたり、のんびりと分割することは少ないでしょうが、本格的に資金を投入する前に実験売買を繰り返す、といった対応は考えつくでしょう。頭の中で考えただけで「それドン!」と大金を動かすなんて、ちょっと乱暴です。

常識的な慎重さを常識的なオトナとしての行動に落とし込めば、「試しにやってみる」という発想に至ります。これを恒常的に行うのが「試し玉」で、必然的に「分割売買」を実行することになるのです。


※本記事は『林知之の2勝3敗で“勝つ”トレード』(2016年6月25日号)の一部抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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林知之の2勝3敗で“勝つ”トレード』(2016年6月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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