中国を「生かさず殺さず」最大限に搾り取る
中国としては、中国に進出する米国企業を「人質」にとるか、中国経済の打撃は世界経済の打撃であり、それは米国にも波及すると主張し、軍事力強化のカードを切るしかないのですが、いずれも決め手に欠けます。
むしろ、トランプ政権の弱体化を図り、国境税も国境調整税も進められないよう、政権幹部を「ハニートラップ」に陥れるか、トランプ氏のスキャンダルをリークして政権転覆を図るしかありません。
2月の米中電話会談でトランプ大統領は「両国にとって互いにプラスとなるような良好な関係を構築することを楽しみにしている」と述べましたが、今の大統領は当時より追い込まれた状況にあり、目に見える「成果」を国民の前に示す必要があります。
今回の米中首脳会談中、あるいはその直前に、北朝鮮がミサイル発射や核実験を行う可能性もあり、そうなれば中国は対応待ったなし、となります。
今回の交渉で、最も穏健な結果となるシナリオは、中国が北朝鮮の「実験」を封印し、高率関税(国境税)を回避し、中国が自主的に輸出を規制して徐々に貿易不均衡を縮小していくケースですが、北朝鮮が中国の言うことを聞く保証はありません。
また米国財務省は大方の予想に反して、今回の為替報告書で中国を「為替操作国」に指定する可能性があります。
トランプ大統領としては、「生かさず、殺さず」の範囲で、最大限に中国から搾り取りたいところ。
これに成功すれば、トランプ氏は「成果」を得ますが、その代償として、中国も世界経済も抑圧されることになります。失敗すれば中国は救われますが、同時にトランプ政権の弱体化が世界に示されることになり、「最初の100日」から「最後の199日」の始まりとなるかもしれません。その意味で、両者にとって極めて大事な米中首脳会談になります。
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※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2017年4月5日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『マンさんの経済あらかると』(2017年4月5日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。