ヤプリ<4168>は2013年に創業したアプリ運営プラットフォーム事業を展開する企業である。「デジタルを簡単に、社会を豊かに」を企業理念に掲げ、アプリ開発に加えてCRMやデータ管理を含む運用プラットフォームを提供している。プログラミング不要(ノーコード)でアプリの開発・運用が可能なクラウド型プラットフォーム「Yappli(ヤプリ)」を主軸とするビジネスモデルを構築しており、2025年12月期末時点の契約アプリ数は939件、月間利用者数は3,400万人である。
同社の強みはプロダクト開発力に加えて、導入後の運用まで含めたUX設計ノウハウを有している点である。単なる開発ツールにとどまらず、大量トラフィックに対応するインフラ、セキュリティ、データ管理を包括的に提供している。顧客の行動データを活用したポイント管理やクーポン配信などのマーケティング施策を実装できる点が差別化要因であり、顧客課題の解決につながっている。
導入企業は小売、アパレル、生活雑貨などBtoC企業が中心であり、生活雑貨とアパレルがそれぞれ約2割、人材サービス、飲食・食品、製造業がそれぞれ約1割の構成となっている。小売・飲食領域におけるターゲット層でのシェアは約10%を確保し、20%程度まで拡大余地があると同社は見ている。直近ではHR領域において従業員体験向上を目的とした「UNITE by Yappli」の成長が加速しており、製造業をはじめ現場従業員を多く抱える企業を中心に導入が進んでいる。同社の収益モデルは基本料金に加えてオプション課金やユーザー数増加に伴う従量課金によりアップセルが進む構造である。また、同社サービスはコストパフォーマンスの高さが評価されており、中長期的な成長余地は大きいとみられる。さらに、特にBtoC領域の大規模アプリにおいては、些細な障害発生も許容されず安定稼働・信頼性が重視されるため、AIによる代替余地は限定的と考えられる。
2025年12月期は、売上高6,056百万円(前期の単体業績比9.9%増)、営業利益882百万円(同60.2%増)、当期純利益920百万円(同23.0%増)であった。売上高は月額課金によるプラットフォーム売上が同10.2%増となったことに加え、アプリ導入を支援するプロフェッショナルサービス売上も増加した。「UNITE by Yappli」の成長や飲食・食品業界を中心とした受注拡大が寄与した。利益面では人件費やアプリマーケティング原価が増加したものの、増収効果に加えてサーバー効率化や広告費抑制により増益となり、繰延税金資産の計上も寄与した。
2026年12月期については、売上高6,800百万円(前期比12.3%増)、営業利益1,000百万円(同13.3%増)、当期純利益930百万円(同1.0%増)を予想している。Web構築プラットフォーム「Yappli WebX」の展開やLINEミニアプリ制作サービス開始などマルチプロダクト戦略の推進に加え、前期に買収した子会社の通期寄与により増収を見込んでいる。利益面では、人件費やHR向け展示会出展などマーケティング費用の増加を見込むものの、売上成長により営業利益は増益となる見通しである。一方、当期純利益は税効果の剥落により微増となる見込みである。
2030年12月期に売上高10,000百万円を目標としている。主要施策としてアプリ、Web、LINE、モバイルオーダーの4製品を軸としたマルチプロダクト化を推進し、オーガニック成長のみで目標達成を目指している。加えてM&Aによる同一領域での規模拡大や隣接領域への展開による非連続成長も視野に入れている。資本効率向上と収益性強化を図りつつ、マーケティング領域とHR領域双方での課題解決力を高め顧客基盤の拡大を目指す方針である。
株主還元については成長投資を優先しつつ安定配当を目指す方針である。2025年12月期の配当金は年間13.0円(配当性向18.1%)を実施し、2026年12月期は年間14.0円(同19.2%)を予定している。自己株式取得は2025年度に149百万円を実施したが、今後も財務状況や市場環境を踏まえ機動的に実施する方針である。
株価は足元の利益成長を背景に一定の評価を受けているものの、PERは約10倍と割安水準にある。マルチプロダクト化の進展により顧客単価の向上と収益力の高まりが期待されることに加え、財務体質の改善も投資家評価を下支えする要因であり、評価改善余地は大きいと考えられる。
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