米国株投資に40年近く携わってきた岡元兵八郎氏が、S&P500の長期リターンや過去の暴落局面を振り返りながら、米国株投資の魅力と考え方を解説。ブラックマンデーやリーマンショックなどの危機を乗り越えてきた歴史、為替リスクの実態、配当の魅力、銘柄選びの視点などをもとに、長期投資における継続の重要性を語ります。(※2026年2月収録のマネックス証券YouTube動画に基づく内容です)
米国株投資に40年近く携わってきた岡元兵八郎氏が、S&P500の長期リターンや過去の暴落局面を振り返りながら、米国株投資の魅力と考え方を解説。ブラックマンデーやリーマンショックなどの危機を乗り越えてきた歴史、為替リスクの実態、配当の魅力、銘柄選びの視点などをもとに、長期投資における継続の重要性を語ります。(※2026年2月収録のマネックス証券YouTube動画に基づく内容です)
今、S&P500は売り?買い?割高に注意すべきか……歴史的データから紐解く米国株の今後の見通し
荻野瞳氏(以下、荻野):フリーアナウンサーの荻野瞳です。
岡元兵八郎氏(以下、岡元):マネックス証券のハッチこと岡元兵八郎です。
荻野:「ハッチの米国株教室」では、マネックス証券のハッチさんをお迎えして、その豊富な経験をもとに米国株投資についてわかりやすく教えていただきます。
岡元さんは社会人になって以来、40年近くにわたり一貫して外国株、中でも米国株に携わってきました。10年の米国駐在経験を持ち、33か国以上の証券取引所や上場企業の経営陣も訪問した実績があります。現在はマネックス証券のセミナーで、毎月の市場動向の解説や注目銘柄の紹介を通じて、米国株の魅力の発信を行っています。
米国株投資の驚異的なリターン実績
荻野:前回は岡元さんの米国株との出会いから40年近い投資経験の話をうかがいました。今回はその振り返りも含めて、米国株投資の魅力と銘柄の探し方についてうかがいます。まず、米国株の魅力とはどのようなところでしょうか?
岡元:やはり米国株の一番の魅力は、リターンの高さです。僕が社会人になった1987年4月1日、入社式の日にS&P500に投資をし、ずっとそのままにしておいたら、昨日までで2,274パーセントのリターンを得たことになります。さらに、配当金の再投資を含むトータルリターンを見ると、5,291パーセントにもなります。これはドル建てのリターンです。
僕たちは円を売って米ドルにして米国の株を買いますが、円建てのリターンで見ると、なんと5,568パーセントとなります。例えば、1987年4月1日に100万円を投資していたら、約5,600万円になっていたという計算です。
もちろん実際の投資では売買手数料や税金などがかかりますが、長期投資の複利効果によって、理論上これだけのリターンが生じるマーケットであるということです。このような事実があることが、米国株の魅力を語る上で重要だと思っています。
為替リスクがリターンに転じた歴史
岡元:外国の株に投資する場合、円を売ってドルを買うなど為替が関わってきます。為替の動きによってもリターンは変わるということで、一般に「為替リスク」と言います。ところが、長期的に投資をした結果、この為替リスクは「リスク」というよりも、むしろ「リターン」につながってきたという歴史があります。
ちなみに、同期間の日経平均のリターンが285パーセントであったのに対し、米国株のリターンはその約20倍にもなっています。
社会人になったばかりの頃に、先輩に「株を買うことは夢を買うことだ」と言われたことを、今でもよく思い出します。実際、米国には期待できる、ワクワクするような企業が多いと思います。
荻野さんが今使っているスマートフォンの機種はどちらでしょうか?
荻野:「iPhone」を使っています。
岡元:そうですよね! なんとなくそうではないかと思ってうかがいました。Apple社製品は、世界中で約24億台使用されていると言われています。
一方、日本で一番有名な企業といえばおそらくトヨタです。僕はアフリカにもよく行きますが、現地で「どの車がいいと思う?」と聞くと「トヨタ」と答える方が大半です。
そのトヨタの車が、世界中でどのくらい使われているか想像できますか? 先ほど、Apple社製品は24億台使用されていると言いましたが、トヨタの車は約1億5,000万台しかないそうです。
荻野:少なく感じますね。
岡元:もちろん金額が違うので比較は難しいですが、1億5,000万台と24億台という数字だけで言うとぜんぜん違います。
このように米国企業の例を挙げると、Appleはグローバルブランドとして世界一の実績がありますし、僕たちだけではなく、世界中の人がGoogleで検索して、Amazonで買い物をしており、米国の企業は世界中で知られています。
「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるこれらの企業は、各社の製品やサービスがかなり広く使われている一方で、まだまだ成長余地があります。AppleやGoogleほど規模の大きい企業は米国にしかなく、そのような企業に投資できるマーケットも、やはり米国だと思います。
株価比較で見る米国企業の成長力

岡元:こちらは、2010年末から2026年1月半ばまでの、トヨタとTeslaの株価チャートを比較したものです。スライドの赤い線がトヨタの株価で、青い線がTeslaです。ご覧のとおり、Teslaはすごい勢いで伸びています。

岡元:こちらのスライドには、1999年末から2026年1月半ばまでのソニーグループと、Appleの株価チャートを示しています。これらの企業を比較するのが適切かどうかは置いておいて、あくまで参考として見ていただければと思います。
僕は、このような状況はここで止まらず、これからも続くと思っているので、米国株投資を継続します。もし「米国に興味はあるけど投資をしたことがない」という方は、資産の一部で良いので、米国株に投資することをおすすめします。
下落局面を乗り越えてきた歴史

荻野:こうしてデータを見ると、米国株が圧倒的な成長を続けていることがよくわかります。ただ、岡元さんの40年近い投資経験の中では、株価が下落する局面もあったと思います。
岡元:もちろんです。例えばブラックマンデーの時もそうだと思いますが、その後も見ていくと湾岸戦争がありました。今となっては歴史の一部ですが、当時は明日、何が起こるのかがわからない状況でした。アジア金融危機もありましたし、有名なドットコムバブルが弾けて株価が暴落したこともありました。米国発の世界金融危機、リーマンショックもありました。
当時を振り返っていつも思うのは、「株価が下落した理由は何だろう?」ということです。これらは、企業自体がだめになって下落したのではなく、外部環境の変化やセンチメントの悪化で売られたケースが多かったと思います。例えば、戦争で株価が下がったとしても、当時上場していたAppleの価値そのものに大きな変化があったわけではありません。株価が一時的に下がっても、結局その後戻ってきました。
最近だとコロナ禍がありましたが、あの時も株価は一時的に大きく下がりました。今年も、2025年4月のトランプ関税をきっかけに株価が暴落したこともありましたが、それも別に企業自体が悪かったわけではありません。トランプ氏が関税を引き上げたことでセンチメントが悪化して、「これから何が起こるかわからない」という世の中の見方が広がった結果、株価が大暴落したのです。
しかし、しばらくするとみなさまが冷静になり、株価は上がっていきました。上昇理由は、やはりその企業の強さを思い出したためです。
悪いニュースが出ると、確かに株価は下がります。しかし、米国株の歴史がこれからも繰り返されるとするならば、一時的な下げは気にしないほうが良いのです。その企業のファンダメンタルズが大きく変わらないのであればという条件付きですが、そのような意味でも、安心して持てる銘柄を選ぶことがとても大切です。
米国株の配当の魅力
荻野:ほかにも、米国株の魅力はありますか?
岡元:魅力はたくさんありますが、そのうちの1つは配当です。日本株だと、株主になると配当金が年に2回ほどもらえます。配当金をもらうとうれしいですよね。それが米国株だと3ヶ月に1回、つまり年に4回もらえます。
さらに、高配当系のETFの中には、毎月配当金が出るものもあり、最近では毎週配当金が出るという非常にユニークな商品もあります。
米国では、50年以上継続して配当金を増やしている銘柄群を「配当王」と呼んでいます。コカ・コーラやP&G、3Mなど、みなさまがご存知の企業ばかりです。
このような銘柄を長期的に保有し、配当金が出たら使うのも良いですが、その配当金を使って再投資をすると、複利の効果で資産を増やすことが可能です。資産形成に役立つことは、大きな魅力の1つです。
銘柄の探し方:世界の動向を読む

荻野:魅力いっぱいの米国株ですが、実際に銘柄選びをする上での探し方を教えてください。
岡元:やはり、世界でこれから何が起きるのかを予測し、押さえておくことが大切だと思います。
例えば、日本の人口は減っていますが、世界の人口は増えています。世の中の流れとして、今は80億人を超えて100億人に向かっています。

岡元:具体的にどのような国の人口が増えていくかというと、インド、中国、米国などです。そして、2054年の予想を見ても、インド、中国、パキスタンといった新興国がある中で、米国が先進国の中で一番人口が増えていく傾向にあります。トランプ氏は移民に厳しいですが、お金持ちには米国に来てほしい考えかと思います。
トランプ氏の任期もあと3年ですので、彼の政策がこの先何十年も続くわけではないと思います。米国は魅力的な国で、「アメリカンドリーム」という言葉があるように、世界中から米国を目指す人がとても多いのです。優秀な人は、これからも米国に集まり続けると思います。
米国経済の持続的優位性

岡元:人口が増えるだけではだめで、やはり経済規模も大きく成長させなければなりません。その可能性が高いのが米国です。スライドの中央を見ていただくと、2022年のGDPのランキングがありますが、米国、中国、日本と並んでいます。
日本はすでにドイツに抜かれ、さらに米国のカリフォルニア州にも抜かれました。このように見ていくと、米国は上位にい続けています。繰り返しになりますが、先進国の中で米国経済は今後もベスト5、あるいはベスト3でい続けるだろうと予想されています。
そう考えると、人口が増え、経済規模が拡大していく、経済成長率の高い米国にはやはり投資をしていくべきだと思います。
さらに、米国は消費大国で、GDPの7割が消費だと言われており、企業にとって非常に魅力的なマーケットです。米国株は、日本株に投資をするのと同じ感覚で見ているとうまくいかない面がありますので、このような事実をしっかり押さえることが大切です。
初心者でも安心の有名企業への投資
岡元:米国は長い間、人件費の安い国で生産したほうが効率的であるとして、コストカットのために工場を海外に移してきました。ところが、昨今はその流れが大きく変わってきています。
トランプ氏が、生産拠点を国内に戻す、いわゆる「リショアリング」を進めると発言しています。この流れで、どのような企業が恩恵を受けるのかを考えてみましょう。今はインターネットで簡単に探せますし、マネックス証券のWebサイトでも個別銘柄の業績予想は調べられます。
その企業がどのように収益を上げているのかを調べ、「良い企業だ」と思ったら、今後どのように業績を伸ばしていくのかを確認するのが良いと思います。
このように基本的なことを押さえていけば、投資したい銘柄は自然と出てきます。
荻野:お話を聞いていると簡単そうに思えますが、投資初心者の方にはなかなか難しいのではないでしょうか?
岡元:そうですよね。ただ、先ほど例に出したAppleやGoogle、P&G等、これらの米国を、ひいては世界を代表する企業の中で、知らない企業はありますか?
荻野:ないですね。
岡元:このような銘柄を買うだけでも、十分なリターンを得られる可能性があります。そのような意味では、難しいことはないと考えられます。
荻野:では、今から知らない企業を発掘するよりも、まずはこうした有名な企業から投資を始めるのがよいということですね。
岡元:そのとおりです。これらの企業においては、「サービス・製品が明日突然使われなくなる」ようなことはほぼないと思います。積立投資をされている方も多いと思いますが、初めて個別銘柄に投資する際の最初の一歩としては、このような安定した銘柄をおすすめします。
もちろん、決算が悪かったり、ネガティブなニュースが報じられたりすることはあります。しかし、長期的に見れば、例えばP&Gの洗剤を使わなくなるようなことは考えにくいと思います。

岡元:大切なのは、世界の人口は今後増えていくということです。新興国では人口が増えるだけでなく、経済成長によって人々の暮らしに少しずつ余裕が出てきます。そうすると、今まで使えなかったP&Gのシャンプーを使う人たちも自然と増えていきます。それが世界的な流れだと思います。
そのため、P&Gは投資対象としてそこまでエクサイティングではないかもしれませんが、安定的に成長する銘柄ではあると思います。
荻野:これだけ巨大であっても、まだ成長の余地がある企業ということですね。米国株の情報はどのように集めたらよいでしょうか?
岡元:米国の企業のソースは英語ですが、今は翻訳機能が充実しており、英語のニュースも瞬時に日本語化されます。例えば「ウォール・ストリート・ジャーナル」の英語版や、「CNBC」「MarketWatch.com」「Yahoo!ファイナンス」の米国版など、情報はたくさんあります。
荻野:岡元さんは英語の情報を取り入れて、日本語で発信していますよね。
岡元:はい、日本語で解説しています。米国株投資を真剣にやりたい方は、月1開催のセミナーや、僕の番組を見ていただければと思います。
為替リスクという誤解

荻野:米国株に投資する際は、日本株にはないハードルがあると思います。
岡元:たぶん、みなさまが一番最初に気にするのは為替だと思います。先ほど、為替を考慮してもリターンが高かったとお話ししましたが、ドル円が気になる方もいると思います。
スライドに、S&P500の四半期ごと、すなわち3ヶ月ごとのリターンを示しています。円建てリターンがマイナスだった四半期だけを青色で示しています。1990年から見ると、けっこうありますね。
つまり、この期間に投資していると、タイミングが悪ければマイナスになってしまう。例えば、2008年のように33パーセントも下落したこともありました。

岡元:しかし、1年間保有すると、下落の回数は減少します。S&P500を3ヶ月保有した場合、マイナスになる確率は30パーセントですが、1年間保有すると25.7パーセントに下がります。
保有期間が長くなるほど、株価の上昇率が為替によるマイナスを吸収し、為替によるロスを上回るリターンにつながってきた実績があります。

岡元:さらに言うと、最悪のタイミングで米国株を買ったとしても、15年保有すると100パーセントの確率でプラスになったというデータがあります。
もう1つのポイントは、米国のマーケットは日本時間の昼間には開かれていないということです。マーケットが動いているのは僕たちが寝ている時間帯ですので、株のことを気にせず安心して眠ることができます。
日本株だと、昼間起きている時間にマーケットが動いているため「今どうなっているのだろう」と気になりがちです。一報、米国株はマーケットが始まる前に寝てしまえば、翌朝まで忘れていられる上に、寝ている間にも資産が増えていく可能性があります。確率的に見ても、楽しみな結果になってることが多いのです。
24時間取引の新時代到来
岡元:実は今年、「24/5(トゥエンティーフォー・ファイブ)」が起きるとも言われています。月曜日から金曜日までの週5日間、24時間にわたり米国株をリアルタイムで取引できるようになるかもしれないという話です。ニューヨーク証券取引所やナスダックがそれを実現しようとしています。
つまり、近い将来、米国株がアジア時間で取引される状況が生まれるかもしれません。僕たちが起きている間に米国株がリアルタイムで動くようになれば、世界中の人たちが今まで以上に米国株にフォーカスして投資する可能性があります。
荻野:24時間になることで、参加者も増えますよね。
岡元:増えると思います。今、日本でも米国株へ投資をする人が増えていますが、韓国や香港でも、個人投資家の間で同様の傾向が見られます。アジア時間に米国株の取引が行われるのであれば、さらに注目度が高まる展開になると思います。
「Stay Invested」常にマーケットにい続ける

荻野:ここまで、岡元さんから米国株の魅力や特徴についてうかがってきました。最後に、今回の動画の内容を踏まえて、アドバイスをお願いします。
岡元:僕がいつもお話ししていることですが、このマグカップにも書いてあるように「Stay Invested(ステイ・インベステッド)」、つまり常にマーケットにい続けることが大切です。
先ほど株価が暴落するという話がありましたが、米国のマーケットで歴史的に証明されているのが、「下落したときに売ってしまうと、あとで後悔する」ということです。長期的な投資をするのであれば、「投資を継続する」「常にマーケットにいる」ことはとても大切です。
荻野:「ステイ・インベステッド」を心に刻みたいと思います。岡元さん、ありがとうございました。
