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アイシン Research Memo(3):トヨタ向けが主力だが、海外大手メーカーにも供給

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■アイシン<7259>の事業概要

1. 事業内容及びセグメント別概要
同社グループは、2025年3月末時点で同社及び204社の子会社・関連会社(製造会社143社、販売会社18社、その他43社)で構成されている。

同社の主たる事業は単一の自動車部品であることから製品に関するセグメント情報は開示されておらず、決算短信では地域別売上収益と営業利益が開示されている。加えて、決算説明会資料と決算参考資料では、得意先別売上収益と製品別売上収益が開示されている。これらに基づいた事業概要は以下のとおりである※。

※ 数値については2025年3月期の実績値を使用。

(1) 製品別売上収益
同社の主要製品は「自動車部品」と「エナジーソリューション関連他」に分けられるが、2025年3月期の実績では自動車部品が47,757億円(同97.5%)、エナジーソリューション関連が1,203億円(売上収益比率2.5%)であった。

エナジーソリューション関連の主要製品は、ガスヒートポンプエアコン(GHP)、コージェネレーションシステムなどで、主要なガス会社向けなどに販売している。自動車部品の主要製品は以下のような製品であり、トヨタグループ向けが中心だが、その他世界の大手自動車メーカーにも供給している。

1) パワートレイン関連(2025年3月期の売上収益:26,801億円、売上収益比率54.7%)
AT、無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission※1)、ハイブリッドトランスミッション、eAxle(eアクスル)※2、E-Four(PHEV/HEVの後輪用駆動ユニット)など。

※1 プーリーやベルトを使った無段変速機。
※2 主にギア、モーター、インバーターといった部品から構成される電動自動車用の部品。従来の「エンジン+トランスミッション」に替わる電動車のコアユニット。小型・軽量になり、「省スペース」「電質の向上」「低コスト化」が可能になる。

2) 走行安全関連(同10,144億円、20.7%)
主にブレーキ周りの製品で、ブレーキマスターシリンダー、ディスクブレーキ、エレクトロニックスタビリティコントロール(ESC)、回生協調ブレーキシステム、自動駐車システム、周辺監視カメラシステムなど。

3) 車体関連(同9,378億円、19.2%)
ボデーに関する製品で、パワースライドドアシステム、サンルーフ、ドアハンドル、ドアロック、ドアフレーム、アクティブフロントスポイラーなど。

4) LBS関連※(同1,432億円、2.9%)
カーナビゲーションシステムなど。

※ Location Based Serviceの略で、位置情報活用サービスのこと。

(2) 得意先別売上収益
2025年3月期の自動車部品の得意先別は、トヨタグループが33,441億円(売上収益比率68.3%)、OEM・その他が14,315億円(同29.2%)であった。さらにOEM・その他の内訳は、スズキ<7269>が同3.8%、本田技研工業<7267>(以下、ホンダ)が同1.8%、日産自動車<7201>(以下、日産)が同1.5%、三菱自動車工業<7211>(以下、三菱)が同1.4%、その他国内OEMが2.3%、欧米メーカー向けではStellantisが4.5%、VW&Audiが3.2%、その他欧米OEMが3.0%、中国メーカー向けでは第一汽車※1が1.0%、吉利汽車※2が1.1%、長安汽車※3が1.0%、その他中国OEMが1.5%、その他のOEMが3.1%であった。

※1 中国第一汽車集団有限公司
※2 吉利汽車控股有限公司
※3 重慶長安汽車股フン有限公司

(3) 所在地別売上収益と営業利益
所在地別売上収益(2025年3月期)は、日本が24,406億円(売上収益比率49.8%)、北米が10,718億円(同21.9%)、欧州が2,841億円(同5.8%)、中国が5,951億円(同12.2%)、アセアン・インドその他(以下、アジア他)が5,043億円(同10.3%)であった。

また所在地別営業利益は、日本が736億円(営業利益率3.0%)、北米が293億円(同2.7%)、欧州が43億円(同1.5%)、中国が323億円(同5.4%)、アジア他が628億円(同12.5%)であった。特に日本と北米が増益に大きく寄与した。

2. 強み、競合
同社の主力事業はパワートレインを中心とした自動車部品であるが、以下のような強みを有している。

(1) 技術力・開発力・展開力
同社は「走る・曲がる・止まる」の全領域で部品を供給しており、自動車を構成する約3万点の部品のうち約1万点をカバーしている。強みであるアクチュエーター技術を中心に、センシング技術とソフトウェアの連携を軸に、「走る・曲がる・止まる」を支える領域を部品単品ではなく車両全体にわたってシステム統合された製品を提供できる点が最大の特長である。またフルラインアップで揃えるパワートレインユニットを背景に、不確実な環境下で今後の世界の自動車市場においてガソリン車、PHEV/HEV、BEV(Battery Electric Vehicle)※などがどのような割合になっても競争力を発揮できる点が特長と言える。

※ 100%バッテリーの電気で駆動する電動車のことで、充電が必要。

他にもグローバルに生産拠点・研究開発拠点を構えており、国内だけでなく海外顧客のニーズにも柔軟に対応できる点も特長だろう。

(2) トヨタグループとの関係性
トヨタグループとの密接な関係も同社の強みであることは言うまでもない。トヨタグループの生産増が同社の売上増に直結するという収益面での恩恵だけでなく、次世代モビリティで高い技術を有するトヨタグループとのビジネスにより、同社の技術力・提案力・開発力も一段と磨きをかけられる。トヨタグループとのビジネスにより培った技術力・提案力・開発力を、トヨタグループ以外のOEMとの取引における技術力・提案力・開発力に活かすことにより、将来のさらなる事業拡大が期待できる。世界で最も要求が厳しいと言われるトヨタグループとの関係そのものが、同社の最大の財産と言える。

(3) 競合
同社はトヨタグループの中でも最重要部品メーカーの1つに位置付られているので、トヨタグループ向けという点では競合はないと言える。一方でトヨタグループ以外のOEM向けには、ほかの多くのメーカーと競合する。海外市場における主な競合企業は、Valeo(フランス)、Magna International(カナダ)、ZF Friedrichshafen AG(ドイツ)などがある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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