■要約
明豊ファシリティワークス<1717>は、建築に関して技術的な中立性を保ちつつ、発注者側に立って基本計画作成や工事発注方式の検討、競争入札、品質・工程・コストの管理などを行うコンストラクション・マネジメント(以下、CM)事業(発注者支援事業)を展開する。DX化の推進によりプロジェクトのすべてのプロセスを可視化し、「フェアネス・透明性・顧客側に立つプロ」という企業理念を保ちながら高い専門性と提案力に裏打ちされた「高品質なマネジメントサービスの提供」「プロジェクトの早期立ち上げ支援」を行うことで、顧客から高い信頼を獲得し成長を続けている。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の業績は、売上高が前期比7.0%増の6,114百万円、経常利益が同3.3%増の1,270百万円と5期連続で増収、4期連続で過去最高益を更新したほか、売上粗利益や受注粗利益についても過去最高を更新した。また、会社計画(売上高5,890百万円、経常利益1,260百万円)に対しても上回る結果となった。建築コストの急激な上昇により、民間企業の建設投資判断が慎重となるなかで、大規模な本社移転プロジェクトの竣工等によりオフィス事業が同37.7%増収となったほか、老朽化した公共施設の維持管理・改修プロジェクト等の受注増加によりCREM(コーポレート・リアルエステート・マネジメント)事業が同10.6%増収となり、民間CM事業の一時的な落ち込みをカバーした。大阪支店の移転増床に伴う一時費用を計上したことや、DX支援事業における減価償却の増加等により営業利益率は前期比で若干低下した。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の業績は、売上高が前期比5.0%増の6,419百万円、経常利益が同2.3%増の1,300百万円と増収増益が続く見通しである。都心部での大型ビル竣工が続くことによるオフィス事業の成長に加え、公共分野での受注拡大が増収増益要因となる。具体的には、新庁舎建設や公立学校の統廃合、及び空調設備更新プロジェクトなどが堅調に推移している。民間企業において、発注者単独で建設投資を完結させることが困難な状況は依然として続いている。そのため、既存・新規を問わず同社への相談が急増しており、先行きは明るい。ただし、不透明な市場環境を考慮し、業績計画については保守的な水準にとどめている。
3. 成長戦略と株主還元策について
成長戦略として、1)新築プロジェクトや改修・設備更新など建設投資分野だけでなく、建設投資以外の分野(オフィス事業、施設の維持保全等)も含めて発注者支援のニーズを取り込みながら事業分野を拡張していくこと、2)公共施設関連の様々なニーズを取り込むことで公共分野の売上比率を現在の3割から5割程度まで引き上げ、事業基盤の安定化を図ること、3)事業分野やプロジェクト、維持保全等の意思決定に必要なデータベースを構築し、一元管理することの3点に取り組み、将来的には施設のライフサイクル全般に関して顧客負荷の軽減とコスト管理の効率化を通じて、顧客の適切な意思決定を支援するなど、発注者支援に関する新たなマーケットを創造しながら堅実な成長を目指す方針だ。
配当方針は、配当性向55%程度を目安とする業績連動型を基本としている。加えて、2028年3月期までは、赤字(損失計上)の場合を除き、1株当たり年間配当金の下限を44.0円に設定することを決定した。2026年3月期の実績は、前期比1.5円増配の44.0円(配当性向55.1%)となり、13期連続の増配を達成した。2027年3月期も同額の44.0円(同55.4%)を予定しているが、利益が計画を上振れした場合には、さらなる増配の可能性も残されている。
■Key Points
・2026年3月期は公共CM事業とオフィス事業が伸長し、過去最高益を連続更新
・2027年3月期の業績も増収増益が続く見通し
・CMサービスの領域拡大により持続的成長を目指す
・配当性向55%程度を目安に安定的かつ継続的な配当を実施
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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