ヘリマネは意味不明かつ究極の「財政ファイナンス」
そもそも政府が市場性のない永久国債を発行し、これを日銀が直接全額引き受けること自体、究極の財政ファイナンスとなる。
しかし、その目的が物価2%を達成するためだけだとしたらその意味がわからない。
そもそも市場性のない永久国債を発行しなければならないような環境でもない。今回の補正編成で、たとえば10兆円規模の国債を増発しなければならないとしても、借換債の前倒し発行分があり、市中消化つまり入札で発行される国債を増やす必要はあまりないとみられている。
仮にそれ以上の国債増発があり、市中消化が多少増えたとしても日銀は年間発行額の国債を買っているという状況下にあって、国債需給がタイトの現状では国債の消化はそれほど懸念はされないのではなかろうか。
むろん財政規律の緩みといったものが意識されると国債が売られる懸念はあるが、これで少しでもマイナス金利が解消されれば、いったんは国内投資家の購入余地が出てくる。
つまりはいまの国債需給がタイトな環境で市場性のない永久国債を発行する必要性はない。しかもそれを日銀が直接引き受ける必要性もない。
それにも関わらずこのような非常識な政策を訴えるのは、自ら提唱したリフレ政策が結果として物価上昇に結びつかなかったことを棚に上げて、副作用が出てくる前にそれを「ふかす」政策を取らせようとしているようにもみえる。
市場性のない永久国債だろうが政府の債務に変わりはない。日銀がそれを引き受ければ政府債務ではなくなるなどというのは当たり前だがあり得ない話であり、ヘリマネに対しては期待などするのではなく、そのような議論まで出てきているような状況をむしろ危惧すべきかと思われる。
※本記事は『牛さん熊さんの本日の債券』2016年7月15日号の抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『牛さん熊さんの本日の債券』2016年7月15日号より
※記事タイトル・リード文・本文見出しはMONEY VOICE編集部による
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