安倍政権の改憲に「待った」をかける生前退位騒動
有識者の意見を広く集め、粗相なく進めようとすれば、相当な時間をかける必要があり、結果として安倍政権中には憲法改正にたどり着けなくなる可能性があります。
そうなると、最終ゴールを憲法改正に置き、そのために経済対策を含め、脇固めをしてゆく段取りのはずが、はしごを外されることになります。
安倍総理にしてみれば、まさかの「大どんでん返し」となります。それでは何のための内閣改造か、何のための経済テコ入れかわからなくなり、衆議院の解散総選挙の機運も後退します。
天皇陛下はご高齢のためと仰り、実際に動ける人を天皇に据えるのが良い、としか仰いません。このため真意のほどを窺い知ることもできません。
しかし、結果として、国民の意思を超えて改憲に邁進する安倍政権に待ったをかけることになるのは間違いないと思います。
狂い始めた安倍政権の歯車
かつて17世紀に英国の王が悪政のもとに領土を失い、国民生活を圧迫する状況を見かねて、貴族たちが立ち上がり、王の暴走を止めるために制定されたのが「マグナ・カルタ」です。
これは一国のリーダーの悪政、暴走が国民の利益を害さないよう、国王(政府)の動きを制限するために作られた憲法です。
つまり、憲法は一国のリーダーの暴走から国民を守るために、リーダーの行動を縛るもので、リーダーはこれが不自由だからと言って、自ら改正を求めることはできません。国民が政府を信じて初めて「緩める」ことができるものです。
今回、国民の改憲意思が整わないうちから、これに向けて邁進する政府に、国民に代わり「英国貴族」の役割を果たし、日本のマグナ・カルタを守ろうとした神の大きな「意志」を感じます。
いよいよ安倍政権の歯車が狂い始めたような気がします。
※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年7月15日号の抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『マンさんの経済あらかると』(2016年7月15日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。