「トランプ大統領」誕生、そのとき市場はどう動くか?
もし、9月から10月にかけて株式市場が大きく下げれば、現職政党(今は民主党)が不利になり、トランプ氏に票が流れる面もあります。
つまり、ネオコンが支配する今の米国では、どちらが大統領に選出されるかわからない、ということで、「トランプ大統領」の可能性も想定しておかねばならないと言うことです。
そこで、「トランプ大統領」相場について、一度は頭の体操をしておくとよいと思います。特に、市場は2段階の反応を示すと見ます。
第1段階は、やはり世界経済の収縮リスクをみて株安、金利低下、ドル安円高が想定されます。ブレグジット・ショックのように、それまで想定せずに、選挙結果を見て「ショック」で急変するのか、事前に「トランプ優勢」とみてあらかじめ織り込みにかかるかは、それまでの経緯にもよりますが、方向は上記のような「リスク・オフ」型と思われます。
そして次の段階では、「偉大な米国」というネオコン路線が前面に出て、ドル高、軍需拡大が表に出てきます。外交面では反中国色が強まります。これはネオコン路線の方向なので、仮にクリントン氏が勝っても、軍需拡大、反中国、ドル高は変わらないと思われます。
ただ、ここでのリスクは、トランプ氏がレーガン大統領のように、ネオコンに操られて動くかどうか。
彼が背後の勢力を無視してトランプ色を前面に出し続ければ、この第2段階の動きは弱まりますが、ネオコンからは「邪魔な存在」となり、何らかの形で排除される可能性もないではありません。ケネディ、リンカーン大統領などの例があります。
もちろん大統領の意向がそのまま政策に反映されるわけではありません。議会の反対でメキシコ国境に壁を設けることは通らないでしょう。
またあまりトランプ色が突出しないよう、副大統領で中和する動きも見られ、ネオコンが徐々に手名付けると思いますが、「トランプ大統領」をまだ市場が織り込んでいないだけに、第1段階の動きはどこかで生じると見ておくとよいと思います。
※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年7月25日号の抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『マンさんの経済あらかると』(2016年7月25日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
マンさんの経済あらかると
[月額880円(税込) 毎週月・水・金曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。