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ぼくらが株を売る理由。心がわりは決算のせい?=炎

富の分配を受ける株式投資家

日本が経済的な発展を遂げた結果、1億2000万人の国民が蓄積した金融資産は1400兆円を超えています。一方では政府の借金(国の借金や国民の借金ではない)が1000兆円を超えていて、現在も増加中で財政再建の必要性を指摘する声もあります。

これが積極財政政策を妨げる要因になっていますが、民間の投資が将来への不安を背景に進まない中では政府の投資が必要なので、もっと積極的に財政出動すべきだと有力なエコノミストや大学の先生から指摘されています。

戦後営々と蓄積されてきた国民の金融資産は社会インフラ資産に置き換わっていたり、企業インフラの代価としての株式資産に置き換わっていると推察されます。

個人も機関投資家(年金資金も含む)も株式投資家は企業が発行した株式に投資する一方で、そこから期間内に生み出された利益(富の増分)の分配を受けることになります。

企業はゴーイングコンサーンで絶えず事業運営を継続する前提で存在しており、予期せぬリスクに対応する必要があるために、利益のいくらかを内部留保して継続性を担保しないとなりません。

多くの企業は設立時の混沌とした状況からビジネスの成功とともに発展・成長に向かうステージを迎えます。基本は利益の蓄積つまり自己資本でビジネス展開しますが、成長のスピードを速めるために株式市場に株式を新規に公開して不特定多数の投資家からリスクマネーを得る行為をIPOと称し、その後の成長を見込んだ経営手法となっています。

小口運用と年金運用の決定的な違い

現在、株式市場にはおよそ3600の企業が上場して、不特定多数の投資家のリスクマネーを呼び込んでいます。結果として日本の株式市場の時価総額はおよそ500兆円となっていますが、そこで得られるリターンはインカムゲインだけで言うと約2%の配当金ですので、10兆円程度になって国民から集めた年金資金100兆円をこの株式市場で運用すれば平均的には2兆円を得ることができるわけです。

年金運用で5兆円の損が出たと話題ですが、投資の開始時点をどこに置くかでこの議論は違ってきます。国債などの債券投資などで運用していては得られないリターンを確保するための懸命な運用を株式投資でカバーしようとしているのは理解できます。

過去の時価総額はバブル経済の末期、1989年末に600兆円でピークを打ちました。

逆に言うと、日本の株式市場の時価総額が今後600兆円にまたなるとすれば、20%の運用成果が未来において得られることになり、そこに仮に100兆円を投じていれば20兆円の資産増強が実現することになります。

年金マネーは長期的スタンスでリターンを上げることが目標になりますので、長期的視点で企業の収益向上、事業拡大が実現すれば良いので、これが10年後に実現しても良いわけです。黙って投資していても年間2%が配当として得られますので、GPIFによる年金マネーの株式運用から10年で合計4%が得られれば良いことになります。

年金資金に負けじと個人投資家の皆さんは株式運用に注力されているものと拝察しますが、企業によっては配当性向が低い状態で配当利回りが4%以上になっている銘柄や時価総額が保有している現預金よりも小さい銘柄があり、相応の成長性に加えて富の積極的な配分が期待される魅力的な銘柄が数多く存在しています。

年金のような大きな資金は小回りが利きませんので、そうした細かい運用はできないのかも知れませんが、個人投資家は自由に運用ができます。企業の発する情報を分析しながら長期スタンスで投資していく個人投資家に対して企業が構築した利益(富)の分配が進むことで株式相場が大いに盛り上がっていくものと期待されます。

Next: なぜ日本では株価が解散価値を下回る低PBR銘柄が大量に存在するのか?

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