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【8月米雇用統計】良すぎれば波乱も?意外に低い利上げのハードル、102~105円想定=ゆきママ

先行指標はまずまず。利上げに必要な数字とは?

それでは、先行指標を交えながら、利上げに必要な数字を具体的に考えていきましょう。先行指標は以下のようになっています。

先行指標(数値はいずれも速報値)

先行指標(数値はいずれも速報値)

全体的にやや悪化しています。とはいえ、大幅に下振れしているかといえばそうではなく、製造業の雇用指数の悪化がやや気になる程度です。ちなみに、今回はISM非製造業指数の発表がまだ行われていません。

そして、今回の非農業部門雇用者数の事前予想値は+18.0万人となっていますが、これぐらいの数字が出てくるのであれば、市場としては万々歳でしょう。

そもそも、イエレンFRB議長などは+10万人前後の雇用増で十分としていることもありますし、先ほども書いたように利上げのハードルは低いといった指摘もありますから、この予想値を大幅に下回って+10万人を割り込むようなネガティブサプライズとならなければ、初動はともかくとして底堅い値動きが続くのではないかと考えています。

トレンドを見ても、非農業部門雇用者数は過去2か月で+54.2万人ですから、今回+5.8万人であれば3か月間の平均で+20万人の節目を超えます。過去6か月で平均+20万人という数字を目指すとなると、今回は+24.5万人が必要となりますが、12か月間では+14.6万人となっています。

これらを総合すると、基本的には+14~15万人を超えてくればほぼ問題なさそうですので、雇用者数に関しては過度に懸念する必要はないと思われます。

また、平均時給(賃金上昇率)の事前予想値は、前月比+0.2%・前年比+2.5%となっています。目標にはまだまだ遠いので物足りない数字ではありますが、ハードルの低さから、これも大きく下回らない限りは問題ないでしょう。

ただし、前月比で+0.0%と伸びがなく横ばいといった数字が出た場合には、労働市場の引き締まり方が足りないといった見方になる可能性がありますので、少なくとも前月比で上昇することは最低線としておきたいところです。

想定レートは1ドル=102.00~105.00円。米長期金利、株価には要警戒!

今回はよほど酷い数字が出ない限りは大暴落という結果にはつながりにくそうです。11時20分現在のレートも1ドル=103.30円と過熱感はそれほどありませんから、予想値並、あるいはちょっと弱い程度の数字であれば9月利上げを徐々に織り込みつつ底堅く推移しそうですので、基本的には上方向、または押し目狙いの戦略をメインシナリオにしたいと思います。

米ドル・円チャート

米ドル・円チャート

上のドル・円チャートを見ていただければわかると思いますが、今年に入ってからは未だ雲抜け(一目均衡表の雲の上限)は達成できておらず、3度跳ね返されていますので105円を上値目処としています。ただし、ここを抜けた場合にはトレンド転換も十分考えられますので、しっかり超えた場合は一段高も見ておきましょう。

それから、仮に弱い結果となったとしても、前述したようなFRBの状況を踏まえると、過度なドル売りというのは難しそうなので、下値に関してもそれほど警戒していません。

ただし、非農業部門雇用者数がまさかの10万人割れといった数字や、賃金上昇率がマイナスとなった場合には、アメリカ経済そのものに再び疑義が生じることになりますから、100円割れ近辺ぐらいまでは見ておく必要がありそうです。

そして、問題はむしろ非常に良好な結果が出るようなポジティブサプライズとなった時にどうするかということでしょう。最新のFedウォッチを見ると、市場が想定している9月の利上げ確率はわずか27%と3割にも満たない数字となっていることがわかります。

このことは、まだまだ9月利上げというシナリオを真剣に考慮していないということの現れでもありますが、もし今回の雇用統計で良好な数字が出れば、市場は利上げリスクに向き合う必要に嫌でも迫られるでしょう。

したがって、むしろ予想を大きく上回る数字が出た際は、利上げリスクを懸念して、これまで堅調だった株式市場や債券市場が不安定化し、そのことがドルの上値を抑えることにもつながりかねませんので、トレードする際は株価や米長期金利(10年債利回り)の動向に警戒することをお忘れなく。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2016年9月2日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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