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ロッテ・サムスン・韓進海運…韓国財閥「同時崩壊」のジェットストリームアタック

4. 現代自動車

現代自動車では12年ぶりに全面ストライキが発生している。しかも、このストライキはわりと無茶な要求を会社側が飲んで暫定合意したのに、数日後に労働組合の表で否決されたためにさらなる要求を突きつけてストライキを決行した。工場の生産ラインがストップして、その被害額は数千億円にも膨れあがるという。下記、交渉の流れを会話形式で書き起こした。

労働側:
「賃金の5万8000ウォン(約5300円)引き上げ、成果給および激励金(350%プラス330万ウォン)、従来型市場商品券20万ウォン、株式10株の支給を要求するニダ。逆らえば全面ストライキをするからな」

現代自動車側:
「厳しい条件だが合意するしかないニダ。では、それで暫定合意するのでストはやめてもらえるニダ?」

労働側:
「暫定合意の内容は27日の組合員による投票で78%の反対により否決されたニダ。だから、さらなる要求を追加するニダ」

現代自動車:
「はあ?労使間の信義誠実に反する行為ニダ」

労働側:
「そんなことは知らないニダ。では、全面ストライキをするので生産ラインはもう動かないニダ。後、よろしくニダ」

現代自動車:
「ふざけるな。無理なストライキで我が社のみならず、数多くの下請け企業や地域経済にも被害を拡大することをわかっているのか」

労働側:
「そんなことは知らないニダ。速く要求を受け入れないとずっと生産ラインはストップしたままニダ」←今ここ。

5年以内に部品メーカーの半分が滅ぶ事態に

このように現代労組のストライキで部品メーカーが危機的な状況となった。そこに登場したのが「緊急調整権」である。これは韓国政府によってストライキを一時的中断させるという、言わば「伝家の宝刀」を抜くような強い権限を持っているものである。しかし、これもあくまで一時的な解決にしかならない

もっとも、緊急調整権を使えば、30日はストライキはできなくなる。しかし、30日後からストライキは可能だ。つまり、政府が関与することで、現代労組が毎月ストライキを始めるというとんでもない事態にもなるわけだ。「現代労組」という組織は私が知る中で世界最悪の労働組合なので、会社が赤字になろうが破産しようが、配慮は一切しない。むしろ、破産しても給料だけはきっちり奪おうとする悪魔みたいな集団である。

そんな集団が全面ストライキを始めた今、現代自動車は窮地に立たされている。しかも、韓国の自動車生産台数は、インドに抜かれて世界6位となった。ストライキや内部対立をしている場合ではないが、そんなことは労組が気にするはずもない。ストライキはまだ始まったばかり。緊急調整権もどうなるかはわからない。これは韓国の自動車業界にとって深刻な問題である。

以上、4つの財閥グループの危機を見てきた。ロッテ以外はわりと解決が難しいので、これからも続報には注目していく。

先週の韓国市場

日付 KOSPI ウォン KOSDAQ 先物 外国人(単位はウォン)
26日 2046.43 1108.70 687.46 258.15 -152億
27日 2062.82 1096.50 687.99 260.40 236億
28日 2053.06 1096.80 686.76 259.10 -1139億
29日 2068.72 1098.80 689.83 261.05 1842億
30日 2043.63 1101.30 681.21 258.15 -1578億

先週の韓国市場はそれほど変化はない。KOSPIが2000を超えているので状況は悪くないが、そこからさらに上がるような材料はない。サムスン電子のリコール問題も長引きそうな気配があるし、現代自動車のストライキも株価にはマイナス材料にしかならない。しばらくはこの辺りを維持しそうな感じである。

ただ、ドイツ銀行が何やら不穏な動きがあったりするので、それがどこまで本当か。さすがにリーマン・ショックみたいなことにはならないと思うが、世界経済に暗雲が立ちこめたような気もしないでもない。中国経済もドーピングがそろそろ切れかかっている。頼みの米国は、大統領選挙で10月・11月は忙しいだろう。投資家はほぼ様子見といったところだ。


※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2016年10月2日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』(2016年10月2日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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