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中国に工場を作って中国から輸入する「自殺パッケージ」で日本は壊れた=三橋貴明

虎の子の「需要」までをも献上

我々日本国は、対中直接投資を増やすことで、日本国内への資本の投下を削減。当然ながら、日本国民ではなく、中国における中国人民を雇用。必然的に、各種の技術も中国に供与。中国で生産された製品を輸入することで、虎の子の「需要」までをも献上するということを続けてきたのだ。

1997年の橋本緊縮財政以降、我が国の需要の総計である名目GDPは全く増えていない。2015年度の名目GDPは約500兆円で、未だに橋本政権期を下回っている。

全体の需要が増えないデフレ期に、我が国は外国、特に中国からの輸入を増やした。すなわち、需要の一部を中国に供給した。これが、どれほど愚かなことか。

例えば、対中輸入がピークに達したの2012年の数字は、約1890億ドル(約18.9兆円)にも達している。GDP統計上、輸入は「控除項目」だ。12年の中国からの輸入分、国内で生産が行われていれば、我が国のGDPは4%近くも拡大していたことになる。

別に、重商主義的なことを言いたいわけではない。それにしても、デフレーションという問題を解決するため、国内の「雇用」や「需要」を拡大しなければならない日本が、両者まとめて中国に渡してしまったことは間違いないのだ。

結果的に、日本国内ではデフレ脱却に必要な投資(資本の投下)が伸びず、需要不足は終わらなかった。国民の貧困化も続いた。

日本の「対中直接投資」と「対中輸入拡大」の組み合わせは、国内の雇用を奪い、国民の所得を引き下げ、デフレを長期化させるという最悪のパッケージだったのである。


※本記事は、『週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~』 2016年10月8日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~』(2016年10月8日号)より抜粋・再構成
記事タイトル・本文見出し・太字・図版はマネーボイス編集部による

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