3. アメリカン・エキスプレスをリトマス紙につけると?
次に、アメリカン・エキスプレスを見てきましょう。
<アメリカン・エキスプレス 業績>
年度 売上高 純利益 EPS
2006年 24,826 3,707 2.99
2007年 27,559 4,012 3.36
2008年 28,365 2,699 2.32 ←リーマン・ショック(利益30%ダウン)
2009年 24,523 2,130 1.54 ←さらに利益33%ダウン
2010年 27,582 4,057 3.35 ←完全復活!
2011年 29,962 4,935 4.12
2012年 31,555 4,482 3.89
2013年 32,870 5,359 4.88
2014年 34,188 5,885 5.56
2015年 32,818 5,163 5.05
EPS(1株あたり純利益)を見ると、2007年の3.36ドルから、リーマン・ショック発生の2008年には2.32ドルまで落ちています(30%ダウン)。さらに翌年の2009年には、1.54ドルまで落ちました(さらに33%ダウン)。
2年連続、30%下落が続きました。売上高は2009年に15%落ちています。しかし、利益の落ち込み具合に比べて、売上高はそれほど大きく変動していません。
売上高は、ビジネスのパイの大きさを示します。ビジネスのパイ自体が縮小していないのであれば、コスト削減や合理化を進めて、後で利益が出せるようになる可能性があります。
この点については、ウェルズ・ファーゴとよく似ています。利益の動きもウェルズ・ファーゴと同じく、2年後の2010年には純利益が上昇して、完全復活を遂げています。
アメリカン・エキスプレスの株価も見ていきます。
<アメリカン・エキスプレス 株価>
2006年 60.67
2007年 52.02
2008年 18.55 ←リーマン・ショック
2009年 40.52 (最安値:10.26)←年末には株価復活!
2010年 42.92
2011年 47.17
2012年 57.48
2013年 90.73
2014年 93.04
2015年 69.55
リーマン・ショックの影響で、2008年12月末には株価が18.55ドルまで下落しました。前年比で64%の下落です。
最安値は2009年3月6日の10.26ドルです。2007年12月末の52.02ドルから比べると、株価が約4分の1になっています。
もう言うまでもありませんが、こういう時は100%、買い時です。優良企業の株価が約4分の1になっているのです。億万長者になれるチャンスと言えるでしょう。
アメリカン・エキスプレスの株価は、ウェルズ・ファーゴよりもかなり早く回復しています。バーゲンセール期間は、2008年から2009年半ばぐらいの1年半ぐらいでした。
もう一度、ウェルズ・ファーゴの株価を見てほしいのですが、4~5年にわたって下落相場が続いています。これは、ウェルズ・ファーゴの方が業績の落ち込みが激しかったためです。
ただ、株価が最も落ち込んだ2009年3月6日の株価で見ると、アメリカン・エキスプレスもウェルズ・ファーゴもほぼ互角です。
アメリカン・エキスプレス
2007年12月末:52.02ドル → 2009年3月6日:10.26ドル(約80%ダウン)
ウェルズ・ファーゴ
2007年12月末:30.19ドル → 2009年3月6日:8.61ドル(約70%ダウン)
ウェルズ・ファーゴは銀行で、アメリカン・エキスプレスはクレジットカード会社です。両方とも金融業です。金融業は、金融危機のときには業績も株価も急激に落ちます。
<アメリカン・エキスプレス リトマス試験の結果>
- 金融危機時に純利益が2年連続で30%も減った(計55%の下落)
- 業績は2年後にはリーマン・ショック前の水準まで回復した
- 株価が一時、4分の1ぐらいに下がったが、すぐに持ち直した
- ウェルズ・ファーゴと違って、株価は1年半ぐらいで復活している
→アメリカン・エキスプレスは金融危機に弱いタイプ!