4. IBMをリトマス紙につけると?
バフェットの所有する代表的な4社のラスト、IBMを見ていきます。
<IBM 業績>
年度 売上高 純利益 EPS
2006年 91,424 9,492 6.11
2007年 98,786 10,418 7.15
2008年 103,630 12,334 8.89 ←リーマン・ショック(影響なし)
2009年 95,758 13,425 10.01
2010年 99,871 14,833 11.52
2011年 106,916 15,855 13.06
2012年 102,874 16,604 14.37
2013年 98,367 16,483 14.94
2014年 92,793 12,022 11.9
2015年 81,741 13,190 13.42
IBMは、リーマン・ショックの時にむしろ売上高、純利益が増えています。
コカ・コーラ以上に金融危機時の耐性がかなり強いことが伺えます。今回、リストアップした4銘柄の中では、IBMは最も金融危機に強い企業だと言えます。
IBMはコカ・コーラと同様、2014年前後から売上高、純利益が伸びなくなっています。近年の落ち込みのほうが気になります。
※この件はテーマと異なるため、本稿では詳しくは取り上げません
次に株価も見ていきましょう。
<IBM 株価>
2006年 97.15
2007年 108.1
2008年 84.16 (最安値:74.88)←リーマン・ショック
2009年 130.9
2010年 146.76
2011年 183.88
2012年 191.55
2013年 187.57
2014年 160.44
2015年 137.62
IBMの株価の最安値は他の3銘柄と異なり、2008年11月21日の74.88ドルが大底になっています。2007年12月末の108.1ドルから比べると、約30%の下落です。
コカ・コーラが約37%の下落だったので、それよりも少しダメージが浅くなっています。リトマス試験の結果も、ほぼコカ・コーラと同じです。
<IBM リトマス試験の結果>
- 金融危機時に純利益は減らなかった(むしろ増えている)
- 株価もそれほど落ちなかった
- 2007年12月末:108.1ドル → 2008年11月21日:74.88(約30%ダウン)
→IBMは金融危機に強いタイプ!
恐怖に打ち勝てるか?
株価はかなりいい加減に動きます。IBMはリーマン・ショックの影響で、業績はまったく落ちないのに、株価が30%も下落したのです。
こういう時に現金を持っている人は強いです。わずか1年や2年で、資産を少なくとも2倍に増やせます。
ただ実際には、こういうタイミングを狙って買いを入れるのは難しいと思っています。大きな要因は心理的なものです。
みんなが不安になっているからこそ、金融危機に無関係のIBMやコカ・コーラの株価まで下落するのです。
長期投資を自認している人でも、「市場は崩壊して、一生、元に戻らない」と信じるような状況に陥ります。ここを切り抜けられるかどうかです。
私、個人の投資方針としては、とにかくバフェット銘柄を持ち続けます。長くても2、3年で復活するので、慌てて売ったり買ったりする必要はないと考えています。