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マレーシア第2の都市・ジョホールバルが「廃墟化」するこれだけの理由=午堂登紀雄

まさかこれほどまでの供給過剰が起こっているとは…

当時から予想はしていたことであり、新興国不動産投資のセミナーなどで話す機会があるたびに「必ず供給過剰が起こる」と注意喚起していた私ではありますが、言ってる張本人が今、供給過剰の波に飲まれています。というのも、当時の私の予想を上回る超ハイペースで新しいコンドミニアムが乱立しているのです。

たとえばシンガポールの対岸、コーズウェイから少し西方に位置したダンガベイと呼ばれる湾岸エリアでは、中国資本によるコンドミニアム群が建設されていますが、近くで見るとその物量(供給戸数)に圧倒されます。こんなに住む人はいないだろうと感じずにはいられません。

もちろん、新規のプロジェクトはJB内のあちこちで進んでおり、私が投資したプテリハーバー(プライベートヨットなどが係留できるマリーナエリア)だけでも、周辺では5つのプロジェクトが同時進行していました。そのプロジェクトも1つ1つが巨大で、1棟で何百戸もあるタワーが何本も建っているのです。

どう考えてもこれほどの供給に対し需要が追いつくはずもなく、私の物件が1年も空室で賃貸が決まらない理由が痛いほどわかります。私が買った物件には敷地内にオフィス棟もありますが、決まったテナントは1社だけ。レジデンス棟の駐車場もガラガラで、住民は1ケタ程度しか住んでいない模様です。

居住エリアとしてはまだまだ不便

古くからのJB市内はそれほど深刻な状況ではありませんが、問題は新規開発エリアです。

イスカンダルの目玉エリアであるヌサジャヤ地区は「イスカンダル・プテリ」という名称に変わり、その中でも特にメディニ地区は経済特区が設けられて企業の誘致を進めています。しかし、そこでさえ人はほとんどおらず、政府役人が住むと言われていた複合施設「ワンメディニ」もガラガラです。

というのも、周辺には生活必需品や生鮮食料品などが手に入る商店などが皆無で不便だからです。これでは人が住みたいとは思えないでしょう。イオンすら進出してこないのは、やはり人がいないから売上は成り立たないと考えているからだと思います。店がないから不便。でも集客できないから店は出てこない。だから不便であるという負のスパイラルです。

これは公共交通機関も同じく、プテリハーバーからはイミグレーション機能を持ったフェリー乗り場が開設されており、現在はインドネシア航路のみ運行されています。計画当初はシンガポール(セントーサ島)を結ぶ経路計画もありましたが(現在も計画自体はあります)、利用者数が見込めないということで、いまだ就航されていません。

さらに西のセカンドリンク(シンガポールと結ぶ橋)もガラガラで、朝晩の渋滞時はコーズウェイを通るよりも迂回してセカンドリンクを使った方が速いくらいです。

Next: 需要と供給される物件グレードのミスマッチが起こっている

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