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マレーシア第2の都市・ジョホールバルが「廃墟化」するこれだけの理由=午堂登紀雄

計画がとん挫するリスクはあるのか?

では、イスカンダル計画が途中で頓挫するリスクがあるのか?という点については、これはかなり低いと考えています。というのも、すでにジョホール州政府庁舎はヌサジャヤ(現イスカンダル・プテリ)に移転していますし、政府やスルタン(王族)の資本が入ったデベロッパーが多数開発しているため、彼らの威信にかけてもひっくり返すということはないでしょう。

また、総投資額10兆円という巨額な投資目標に対し、2006年からの累計で2016年時点ですでに5兆円以上の投資が決定しています(実行ベースでは約3兆円弱)。折り返し地点としては、まずまずのペースと言えます。

いずれにせよこれからの10年、投資家は損切り撤退か、耐えて待つかのどちからの判断を強いられることになるでしょう。なお、原油安とナジブ首相のスキャンダルでリンギットはリーマンショック並みに下落していますから、預金の補填や繰り上げ返済をするには悪くないタイミングと言えそうです。

一方で、私がアメリカ・カリフォルニアに投資した物件は、ほとんど空室期間が長引くことなく順調に稼働しています。やはり先進国の中間所得層における住宅市場の分厚さを感じます。

そんな違いを見て最近感じているのは、不動産投資初心者は、まず日本国内か先進国など住宅市場が成熟している場所で始め、余裕ができたら新興国へ、という順序のほうがカタそうだな、ということです。現実にも上記と同じような供給過剰状態はマレーシアに限らず、タイ、カンボジア、フィリピン、ベトナムなど、東南アジア諸国で共通して起こっている事象です。

たとえば、ちょっと前までは駐在員が住みたいような良質な居住物件が圧倒的に不足し、キャピタルゲインだけでなくインカムでも高利回りが期待できたカンボジア・プノンペンでさえ、今後供給ラッシュを迎え、未来は不透明になりつつあります。

どの国も、需要を吸収し切れないであろう数の新規大規模プロジェクトが目白押しで、買っている人の約半数は外国人。全供給戸数の何割かはローカルに売らなければならないという規制がある国もありますが、先に売れているのは外国人枠で、ローカル枠は売れ残っているというプロジェクトも散見されます。現地人が殺到して買っているような物件を選ぶとか、たとえばハワイのようにそこにしかない希少性の高い特徴ある立地・物件を選ばなければ、出口に苦労するリスクが高くなるでしょう。

Next: リスクを回避・軽減するために。二段構えの投資戦略

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