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マレーシア第2の都市・ジョホールバルが「廃墟化」するこれだけの理由=午堂登紀雄

今は貸せないし売れない時代

つまり今のタイミングでは、日本人が買ったような物件は、貸すことも難しければ、売るに売れないということになります。

実際、最近の新規プロジェクトの完売率は平均して6割から7割程度と言われており(ローカル向けの安価なプロジェクトは完売するものもある)、家が余っているのに転売することはもっと難しいというのは誰でもわかる話です。

かつてマレーシア不動産ブームの時、日本人の販売仲介会社はさかんに「完成前に売り抜ければ、残金の用意は不要だしキャピタルゲインも得られる」と言っていましたが、今となっては当然そんなことはムリ。現実にも、転売できず残金も用意できない購入者によって、あちこちでキャンセルが起きているそうです。

私は常に「場所選びが重要」ということを主張してきましたが、ここまで過剰の上に過剰を塗り重ねられると、もはや場所の良し悪しなど関係ない、まさに手の打ちようがありません。

しかもローンを組んでいれば、空室が続く限りローンの返済だけがのしかかってくるわけで、リンギット預金は目減りする一方、あるいは日本から何度も送金して補填しなければならなくなるのは日の目を見るより明らかです。実際そうなっている人がほとんどで、返済苦のため売却したいという日本人もちらほら出てきていると聞きました。

しかしこんな状況では売りたくても売れないし、大幅に値段を下げて(つまり多額の損切りをして)やっと売れるかどうかです。ただし、2014年以前の50万リンギ規制(1,300万円)のころにギリギリ50万リンギくらいで買った人や、それ以前にMM2H(マレーシア・マイセカンドホーム:10年更新型の長期滞在ビザ)を取得し安く買った人は、それでも転売益は出ているようです。このくらいなら、ローカルの人たちでも住宅ローンを組めばなんとか手が届く価格だからです。

イスカンダルはそして廃墟に

中国の内陸都市では、マンションばかり建っているものの、誰も人がおらず、夜もどの部屋も明かりがついてない廃墟地域が増えていると聞きます。有名なのが内モンゴル自治区のオルドス市でしょうか。

もちろん、JBにはそれなりの人口があるため同じようにはならないとしても、街中ではたくさんの人がにぎわっている一方で、ガラガラの高級コンドミニアムが多数放置されている、という状況にならないとは限りません。いや、少なくともイスカンダル・プテリ地区(旧ヌサジャヤ地区)においては、当面の間はゴーストタウンが続く可能性が高いなという印象です(今でも夜は真っ暗です)。

個人的な願望としては、イスカンダル地域開発庁はもちろんジョホール州政府は、ハコもの行政に偏るのではなく、もっと企業の誘致に重点を置いてもらいたいということ。もちろん尽力はしているはずですが、弱すぎるという意味です。

企業が進出して雇用を創出し、海外駐在員やシンガポール人、学校関係者といった所得の高い居住者が増えれば、外国人が買った高額物件であっても、需要は活性化するでしょう。

一方で、私自身が経営者視点に立てば、やはり賃金の安い労働力を使いたいと思うはずで、そうした期待はあまり持てないかもしれないな、と感じています。それに、仮に駐在員が増えたとしても、これほどの数の人が来るとは思えません。そのくらい高価格帯の物件の数が多すぎるのです。

となると、イスカンダル・プテリを始め、旧JB市内以外のイスカンダル重点開発地域で本格的に人口増の恩恵を受けられるのは、高速鉄道が開通する2025年以降の可能性が濃厚です。KLやシンガポールのほうが平均所得は高いため、彼らが移り住んでくれれば…というわけです。しかしあと10年も先…しかもその計画も遅れるかもしれないし…(高速鉄道は当初、2018年開通予定と言われていました)。

また、シンガポールのMRT(大量輸送システム、いわゆる地下鉄)がJBに延伸する計画もあり、これもシンガポールに通勤する人をJBに誘因できる期待の大きいインフラ計画です。そして、もしそうだとすると、現金で買った人や移住など実需目的の人はともかく、投資目的、つまりインカムゲインやキャピタルゲイン目的でローンを組んで買った人の多くは、あと10年もの返済の垂れ流しに耐える必要があるわけです。いや、耐えられない人のほうが多いかもしれません。

Next: 計画がとん挫するリスクはあるのか?

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