2017年は「グローバル化疲れ」がさらに進行?
(トッド)かつて乳幼児死亡率の上昇を「兆候」と捉え、ソ連崩壊の可能性を指摘した。今回もトランプ氏が勝利する可能性はあると考えてきたが、その「兆候」が米国での45~54歳の白人死亡率の上昇だ。医療の発達や生活レベルの向上で低下傾向にある先進国の死亡率だが、米国の白人は1998年以降、上昇に転じているとの研究データがある。死因は自殺やアルコール中毒が目立っていた。不安や苦しみを多くの人々が味わっていたことを意味しており、有権者の約70%を占める白人層は、大きな変化を受け入れる準備ができていたのだ。
出典:トランプ氏勝利 理想に反発した白人層 トッド氏に聞く – 毎日新聞 2016年12月14日
新自由主義に基づく構造改革やグローバリズムを推進しても、国民の多くは恩恵を受けない。逆に、医療費高騰や社会保障削減、さらにはグローバリズムによる低賃金競争、失業、実質賃金の低下(貧困化)により、グローバル化疲れが広まり、社会が不穏になっていく。
結果的に、グローバル化に疲れた国民が「民主主義」によって反乱を始める。実に、合理的な流れなのでございます。
後世の歴史の教科書には、2016年が時代の転嫁点になったと書かれるでしょう。行き過ぎたグローバリズムの是正が世界的に始まった年として。
そんな中、周回遅れのグローバリズムを推進している安倍政権。旧来のパラダイムを前提に推進し、失敗を繰り返す日本外交。日本にとって、厳しい年になるのは間違いないであろう、2017年が間もなく訪れます。
『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2016/12/17号より
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