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ロシアの完勝に終わった安倍・プーチン会談。そして2017年が始まる=三橋貴明

安倍・プーチン会談では、国後や択捉はもちろん歯舞や色丹の帰属問題は進展せず、官民合わせて80件の経済協力、日本側の投融資金額3000億円の合意文書が交わされました。(三橋貴明)

記事提供:『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2016年12月17日号より
※本記事のタイトル・リード・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

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日本にとって厳しい2017年、周回遅れの安倍政権に打つ手はあるか

プーチン大統領の「完勝」

北方「領土問題」は、結局は、「北方領土での共同経済活動に関する協議を開始することに合意」のみで決着したようです。

国後や択捉はもちろん、歯舞や色丹の帰属問題は進展せず、官民合わせて80件の経済協力、日本側の投融資金額3000億円の合意文書が交わされました。

プーチン大統領としては、北方領土について「ロシアに帰属している」ことを世界にアピールし、さらに経済制裁をしているはずのG7諸国の一国(我が国)から、史上最大規模の経済協力を取り付けたわけで、「完勝」という感じでございましょう。

そもそも、桜の番組でも語りましたが、対露関係の改善を明言しているドナルド・トランプが大統領になった以上、プーチン大統領が日本に譲歩する理由はありません

今回の訪日も、トランプの就任前にG7の一角を切り崩せればラッキー程度に考えていたのではないでしょうか。

「歴史の転換点」となった2016年

2016年という年は、ブレグジット、トランプ当選に象徴されるように、これまでのパラダイムが大々的にシフトする歴史の転換点になりました。特に、アメリカ大統領選挙では、グローバリズムあるいは新自由主義の「欺瞞」が時代を動かした印象を受けました。

ご存知の通り、サッチャリズム、レーガノミクス以降の新自由主義により、特にアメリカでは医療費が高騰する事態になっています。医療の「自由化」の結果でございますね。

2015年 1人当たり医療費(個人・民間支出分、単位:ドル)

これだけ突出した医療費を支払い、相対的に健康で生きられるならば、まだしも合理性はあります。とはいえ、現実は…。

2015年 主要国の健康寿命(歳)

ちなみに、健康寿命とは「健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間」という定義です。わたくしたち日本国民は、世界で最も長く「健康上の問題がない状態」で日常生活を送れるのです。しかも、国民皆保険制度や医療現場の方々の献身のおかげで、OECD諸国の中で最も安い医療費で。

それに対し、アメリカは…。

自由貿易や行き過ぎたグローバリズムに「ノー」を突きつけ、米大統領選で勝利を収めたドナルド・トランプ氏。何がトランプ氏を勝たせたのか。世界はどこに向かうのか。フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏に聞いた。(後略)

出典:トランプ氏勝利  理想に反発した白人層 トッド氏に聞く – 毎日新聞 2016年12月14日

上記インタビューの中で、エマニュエル・トッド教授が「グローバル化疲れ」について解説していました。

Next: 医療費高騰、賃金低下…2017年は「グローバル化疲れ」がさらに進行?

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