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迫る景気後退…株価はどう動く?急落か、ソフトランディングか。長期投資家が準備すべきこと=栫井駿介

経済の動向とこれからの株式市場の動きについて、気になるところかと思います。2024年8月5日に、日経平均をはじめ、世界中の株価が大きく下落しましたが、あれは今後の株式市場をある意味で予見している動きだったのではないかと思います。今の経済は、景気後退の方向に向かっていることは明らかですが、その程度が、ハードランディングになってしまうのか、ソフトランディングできるのかということが注目されています。その予想によって株式市場は弱気になったり強気になったりしています。実際にどうなるのかを予想することは難しいですが、これまでに起きてきた経済や株式、金利、金融政策などの流れを知ることで、あわてて動いて間違った行動を取ってしまうことは避けられると考えています。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

インフレの発生と加速

いまの景気の流れはコロナショックの頃から始まっていると考えられます。

前代未聞のウイルスが蔓延したことによって、日本では緊急事態宣言、アメリカではロックダウンといったことが起こりました。
間違いなく経済が悪くなるということで、世界の金融当局は、金利を引き下げたり、世の中に大量にお金を流し込むといった金融緩和に走りました。

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出典:Macro Micro

これはアメリカのS&P500とFFレート(政策金利)を表したグラフです。
コロナショック(グレー部)で株価がガクッと下がり、金利も1.5%というところから0まで一気に下げました。

株式市場はアメリカの経済や金融政策の流れを受けて大枠が決まると言っても過言ではありません。
基本的にはアメリカの動向を中心に考えると良いでしょう。

しかし、コロナショックの後株価は大きく回復しました。
金利が下がるということは基本的には株式市場にとってプラスとなります。

金利が下がると…
・金融市場にお金が流れ込みやすくなる
・割引率の低下で現在の株式の価値が上がる

コロナショックによって経済はどうなるか分かりませんでしたが、株式市場にとっては買いのチャンスだということで株価は一気に回復しました。

 

金利が低い状態が続くとインフレが起こります。

お金が世の中に流れ込みやすくなっている状況で経済も回復してくると、投機的な資金が入ってくるようになります。
それによって石油などコモディティの価格が上がり、石油価格の上昇によってどんどん物価が上がっていくという状況になりました。

また、コロナ禍という特殊な状況ではサプライチェーンの混乱で、物を届けたくても届けられないという状況となりました。
需要が供給を大きく上回ったことによって物価が上がる要因となりました。

 

こういった複数の要因によって一気にインフレが進んだというのがコロナ禍以降の流れとなります。

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出典:TRADING ECONOMICS

ピークの時には9.1%という高いインフレ率を記録しています。

 

インフレになると、基本的には労働者の賃金も上がるので、物価が上がったとしても問題ないのですが、高齢者など年金で生活している人や貯金を切り崩して生活している人にとっては支出だけが大きくなってしまい、苦しくなってしまいます。
この状況は経済の混乱を招きやすくなります。

Next: 景気は緩やかに後退する?それとも…

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