「頼みの綱」の中国でのiPhoneの伸びが止まりつつあった…
ここ数年間、iPhoneセグメントの成長は、中国におけるiPhone販売が大きな要因でした。
ところが最近、中国におけるiPhoneの成長率が止まってきているだけではなく、前年同期でマイナスのケースにまで落ちてきてしまっています。
レッドオーシャンでも成長する方法 = 値上げ!
そんな中、今回の新製品発表会では、iPhone 8、iPhone 8 Plus だけではなく、iPhone Xという豪華版が発表されました。
価格帯で見れば、iPhone 8の一番安いモデルはこれまで通り$699(約69,900円)であるのに対し、iPhone X は一番安いモデルが$999(約99,900円)と、約1.5倍の値段になっています。
iPhoneの様な高価なスマートフォン市場というのは、すでにレッドオーシャンになっています。
既に、ひとつ前のバージョンのiPhoneであっても、十分な機能を有しているだけではなく、iPhoneよりも安い値段のAndroidフォンはどんどん進化しており、Appleとしては販売台数を大きく増やしていくというのが非常に難しい市場になっています。
言わば、この様なレッドオーシャンのマーケットの中で、自社の成長率を上げるために、ティム・クックCEOが出した答えが「値上げ」だったわけです。
で決まりますので、売上を増やしたければ販売台数を増やすか単価を上げる、しかありません。
上で述べたように、販売台数を大きく上げるのは非常に難しい状況であるため、それなら値段をあげれば良い、という発想です。それもちょっとした値上げではなく、事実上50%値上げした新端末を発表する、という施策に打って出たわけです。
当たり前といえば当たり前の話ですが、今回のAppleの新製品発表会を見ていて、一番衝撃を受けたのは、このiPhone Xのプライシングでした。
ティム・クックCEOは就任以来、「スティーブ・ジョブスのようにはなれない」と批判的な目で見られることも多かった気がします。今回のこの「英断」を見て、まさに世界一のCEOは彼なのではないか、と改めて思い知らされた次第です。
50%値上げした製品を発表するというのは、とても勇気がいることだと思います。いくら技術的に製品的に優れているとは言え、本当に売れる製品になるのかというのは、出してみなければ分かりません。
皆さんが同じ様なレッドオーシャン市場にいるとして、既存製品よりも50%も高い値段の新製品を出す勇気がありますか?