なぜリスクが高いのに、調整しないのか?
9月に入ってから、日本金融村の一部では(まだ一部ですが…)、アメリカ株式市場について、「こんなにリスクが高まっているのに、よくもまぁアメリカ株は高値更新していますね~」といった、「あきれ気味の言葉」が挨拶代わりになりつつあります。
アメリカ株式市場はもう9年近くも上昇トレンドにあり、さらに直近1年はほとんど調整らしい調整を経験していません。
なぜリスクが高いのに、調整しないのか? それはおそらく、バブル崩壊を知らない「新しい世代」たちが、アルゴリズム(人工知能)を駆使して、条件反射的に「押し目買い」を続けているのだと思います。
なにやら、1987年のブラックマンデー時の「ポートフォリオ・インシュアランス」を彷彿とさせます。
ジェフリー・フランケル教授「近いうちに大幅調整が来る」
ハーバード大学のジェフリー・フランケル教授は、大変の弱気派(どちらかというと暴落派)です。教授は次のように語り、近いうちに大幅調整が来ると警鐘を鳴らしています。
ブラックスワン(めったに合わない深刻なリスク)は本来は見えてないリスクだからブラックスワンというのだが、いま現在のブラックスワンはすでに飛び立って目の前に居座っていて、見えている。市場がこの見えているブラックスワンから(イケイケのあまり)目を背けているだけだ。
ジェフリー・フランケル教授の指摘によると、いま現在の見えているリスクとは、ざっくりまとめると、以下の6つとのことです。
- 歴史的高値圏にある株式市場(シラーPERの30ポイント超え)
- 今後、長期金利が上昇してゆくリスク(債券バブルの崩壊リスク)
- FRBが「バランスシートの縮小」と「政策金利の引き上げ」を目指し、ECBも「テーパリング」を模索、BOE(イングランド銀行)も利上げを模索している。先進各国の四中銀のうち、日銀を除く三中銀が「金融政策正常化」へ動こうとしているリスク
- アメリカの覇権の陰りが日に日に強くなっている中で、北朝鮮や中東などで「地政学的リスク」が高まっているリスク
- 「10月18日からの中国共産党大会」以降、習近平体制が「従来の何がなんでも経済減速だけは許すまじ」の政策から大きく舵を切って、「中国がより安定的な経済運営(いくばくかの景気減速を伴う)」へと移行しそうな「中国リスク」
- トランプ政権の減税政策などの失政が、上記などのリスクを増大させる
こんなに黒い鳥がいたるところで泳いでいるのに、アメリカ株式市場は、目下のところ、こういった黒鳥から目をそらし続けています。弱気相場入りは近いのではないでしょうか?
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※本記事は有料メルマガ『資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』2017年10月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。本記事で割愛した内容や当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
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『資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』(2017年10月3日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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