ロバート・シラー博士「近いうちにアメリカ株式市場は20%調整へ」
行動経済学者にしてノーベル経済学者のロバート・シラー博士が、「アメリカ株の弱気相場入りの可能性が高まっている」ことに、とうとう警鐘を鳴らし始めています。
シラー博士は影響力の大きな人なので、今はヤフーファイナンスやブルームバーグでは口を閉ざしています。今は、よりマイナー&マニアックなところで意見表明しています。
以下、シラー博士のレポートの「日本語訳(意訳)」です。
※出典:The Coming Bear Market? by Robert J. Shiller – Project Syndicate(2017年9月21日配信)
過去において、13回の弱気相場があった。いま現在のアメリカ株式市場は、こういった弱気相場が始まる直前のマーケットにとてもよく似ている。今すぐ弱気相場入りするわけではないかもしれないが、そろそろ「株式市場の自己陶酔」を警戒すべき段階だ。
弱気相場の定義はいろいろだが、「20%の大幅調整入り」を弱気相場と定義するのが、一般的のようだ。
「20%の大幅下落」を弱気相場と定義するようになったのは、「1987年10月19日に、アメリカ株式市場がわずか1日で20%下落した」ことから由来している。
私の場合は、今回「株価が12か月継続して上昇した後、その翌月のどこかの月に20%下落する」マーケットを「弱気相場」と、定義します。
私の定義する弱気相場は、過去において、アメリカでは、古くからは、1892年、1895年、1902年、1906年、1916年、1929年、1934年、1937年、1946年、1961年、1987年、2000年、2007年と、13回現れた。
これらの弱気相場では、特筆すべき「3つの共通項」があった。
まず第1に、これら「13回の弱気相場」は、どの弱気相場でも、20%下落する直前まで12ヶ月間継続して株価が上昇していて、バリエーションがとても高い状態にあった。
次に、これら「13回の弱気相場」では、どの弱気相場でも、その直前の12ヶ月間では、企業業績も2ケタ台の伸びを記録するなど、とても良好だった。
最後に、これら「13回の弱気相場」では、どの弱気相場でも、その直前の12ヶ月間では、ボラティリティ(株価の乱高下)が異常に低い状態だった。
いま現在のアメリカ株式市場は、12か月間、上昇局面が続いていて、バリエーションが高いこと、企業業績も四期連続2ケタ成長していること、ボラティリティが異常に低いこと、などなど、これら「13回の弱気相場」が起きる直前のマーケットの「3つの共通現象が」同時に起きている。
ということで、アメリカ株式市場が20%の下落をする可能性がかなり高まっている。「必ず訪れることを保証しているわけではない」が、警戒しよう。
ということです。以上、シラー博士の警鐘でした。ほんと、警戒したいですね。