黒田総裁の去就は関係なし。本田氏の「口先」が波乱要因に
本田悦朗氏に「注意すべき」というのは、氏の就任後の金融政策がリスクという意味ではなく、就任を意識したようなスタンドプレー的な発言がメディアに出るたびにマーケットがかく乱される可能性が高い、という意味です。
この本田氏は日銀関係者でもないのに、メディアを使って、さも内部情報を知っているかのような物言いで日銀の金融政策に言及したり、人事について口出ししています。
例えば、昨年5月から7月にかけて、本田氏は日銀がヘリマネを検討しているかのような発言を度々メディアに流したため、特に7月の参院選以降、日銀がヘリマネを導入するかのような見方で日本株が大幅に動きました。
本田氏の思わせぶりな発言が正しかったかどうかは、今に至るまでヘリマネが導入されていないのを見れば火を見るより明らかですが、その本田氏が今度は黒田日銀総裁の後任に色気を出しはじめたわけです。
今月9日、ロイターをはじめとする各紙が本田氏へのインタビューを報道しましたが、その中で氏は、「自身が次期日銀総裁に就任したら、全力でデフレ脱却を実現する」「現行日銀執行部ではデフレ脱却は不可能なので退任すべし」と述べています。
自身が次期総裁になるのが相応しい上に、まるで就任の話が出ているかのような物言いをしたことで、9日のマーケットはヘリマネのような極端な政策をする人物が総裁になる可能性が出たことから、日経平均は860円も乱高下してしまいました。
ヘリマネの妥当性をここで議論するつもりはありませんが、黒田日銀の超緩和策ですら、すでに大きな弊害が出てきて出口戦略が議論されているというのに、いくら経済アドバイザリーと言っても、日銀関係者でもない人物が日銀の人事や金融政策に口を挟むのは問題があります。
アベノミクス「3本の矢」のうちの1つである積極的な金融緩和が黒田日銀総裁によってなされたことを考えると、黒田日銀総裁を変えるのは安倍政権にとってもリスクが大きいでしょう。
なので、現時点で、本田氏が就任する可能性は低いと思われますが、先日のインタビューのように、日銀総裁就任に色気を出しているとしか思えない発言を撒き散らかすと、氏が就任しようがしまいが、正式に来年4月以降の日銀総裁が決まるまでマーケットが乱高下する可能性が高くなってしまいます。
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