1. 仕事の情報収集とは、世間のニュースを追いかけることじゃない
仕事においての情報収集とは、一体何をすることがもっとも効果的なのでしょうか?「経済新聞に毎日、欠かさず目を通す」こと? それとも「自分が身を置く業界についての知識を深める」ことでしょうか?
確かにどちらも一理はあるでしょう。ですが、それらの効果は限定的なものにとどまります。実はそうしたこと以外に、あなたの仕事に劇的な効果をもたらすとっておきの情報があるのです。それは一体、何でしょうか?
【人は「自分のことは見えない」もの】
私はしばしば、人から「そのようなアイデアはどこから得ているのですか?」と聞かれます。そう聞いてくる人は、「どこかにとびきりの情報があるに違いない」と考えているようです。多くの人は、情報とは「仕事に役立ちそうな知識」だとか、「一握りの人しか知り得ない重要な事柄」などのことだと思っています。
まず、純粋に情報についてお話するのであれば、活きのいい情報がどこにあるのかと言ったら、それはもちろん“現場”です。では、現場とはどこのことを言うのかというと、早い話が“街中”です。インターネットやテレビなどが伝える情報の中に、鮮度のいい情報などほとんどありません。それよりは外へ出て、人々の営みに直接、触れたほうが、よほどいいヒントが得られるのではないでしょうか。もともと「街全体が生きた情報」なのですから。
世界的な経営学者であるP・F・ドラッカー氏は、自著の中でこのように述べています。
トップマネジメント自身が外へ出て、よく見、よく聞くことである。予期せぬ失敗は、常にイノベーションの兆候としてとらえなければならない。
出典:P・F・ドラッカー『イノベーションと起業家精神』
氏は「外に目を向け、その声を聞くことが、トップマネジメントの仕事である」というような言葉を残しています。
それでは、冒頭でお伝えした「仕事において、あなたに劇的な効果をもたらす情報」が何かと言えば、それは「他人からのフィードバック」です。これは誰に対しても、どんな職業においても必ず当てはまります。地位や職業などは関係ありません。
仕事で成果を上げたいと思うのなら、他人からのフィードバックに耳を傾けることが、あなたにとってこれ以上はない道しるべとなります。どうしてそのように言えるのかというと、「人は自分のことは見えない」からです。再び、ドラッカー氏から引用してみましょう。
(自分の)強みを知る方法は一つしかない。フィードバック分析である。何かをすることに決めたならば、何を期待するかを直ちに書き留めておかなければならない。そして九ヶ月後、一年後に、その期待と実際の結果を照合しなければならない。私自身は、これを五〇年続けている。
出典:P・F・ドラッカー『明日を支配するもの』
私がよく受ける質問の1つに「どうしてそんなに頑張れるんですか?」というものがあります。当の本人からすると、空回りしていた頃の方が、よっぽど頑張っていたように思います。周りのフィードバックに耳を傾け、得意分野にフォーカスすることで、「できること」と「周りの評価」が変わっていったのです。
他人の声とは「見えない自分の姿を映し出す鏡のようなもの」です。自分の行動に対する外からの跳ね返りに注目することによって、本当の自分が見えてくるということです。