トランプ大統領のおかげで日本が購入予定のステルス戦闘機が総額36億円ほど値下がった。防衛費の0.07%に過ぎない額だが、為替や通商交渉で見返りを求められる不安もある。(『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』近藤駿介)
プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。
防衛費の0.07%に過ぎない戦闘機の値下げ、その対価やいかに?
「ステルス値下げ」で鯛を釣られることなかれ
米ロッキード・マーチン社がトランプ氏との交渉の結果、日本向けを含む最新鋭ステルス戦闘機F35を値下げしたことに安倍晋三首相が感謝したと述べた
世界に先駆けてトランプ氏を「信頼できる指導者だと確信した」安倍総理の存在は、敵の多いトランプ大統領にとって味方として都合よく名前を利用できる数少ない「nice guy」のようだ。異例の厚遇を受けたのも当然といえる。
トランプ大統領のおかげで日本が購入予定の4機のF35購入費は総額で36億円ほど下がった。2017年度の日本の防衛費は5.1兆円なのでその0.07%が節約できた計算。防衛費の大幅拡大が批判の的になっている安倍総理にとっては、感謝、感謝ということか。
顕微鏡で見なければ見ることのできない「ステルス値下げ」だが、その分日本の対米貿易黒字は増えることになる。こんな小さなエビで為替や通商交渉という大きな鯛を釣りあげられないように気を付けてもらいたいものだ。
『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2017年2月19日)より
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による
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