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「老後不安による消費低迷」がトンデモ理論かもしれない最大の理由=藤井聡

「経済の大御所2人」の断定は正当化できない

言論の自由が保障された日本では、誰がどんなレポートを公表しても構いません。ですがこの両氏の「不安が消費を低迷させている」という主張それ自身は、理性的に正当化できるものなのかどうかと言えば、それは別問題。

ついてはその点を確認すべく、新聞記事ではなく、両氏が公表したオリジナルのレポートそのものを確認することとしましょう。
http://www.nikko-research.co.jp/release/6491

このレポートでは、結論で次のように論じています。

弱い消費の第2原因は、 「将来不安」である。とりわけ年金・医療・介護など社会保障の将来への不安が根強い。多くの人々は、老後の生活や医療・介護にどれだけの費用がかかるのかが予想できず、世代を問わず多くの家計が予備的な動機で貯蓄を行い、消費を踏みとどまらせている

出典:理事長室研究レポート「低迷する消費」を公表 – 日興リサーチセンター

ご覧の様に「老後の出費が予想できず、不安だから、消費を控えている」と「断言」しています。

科学者にとって、(講演やエッセーではなく)「分析レポ─ト」において、「因果関係の断定」を図るには、相当に強力な根拠が不可欠です。逆に言うなら単なる「推察」でしかないものを、「分析レポート」では科学者は絶対に「断言」できません、というか「してはいけません」。

そもそも科学者が分析レポートにおいて断言すれば、その読み手は、その主張はほぼ間違い無く真実であり、それを否定する人は恐らく間違いを犯しているか、デマを言っているのだろう、と「認識」させてしまう程の影響力を発揮します。

「断定」してるにも関わらず、「それはウソだろう」と思われてしまうような「科学者」は、疑惑が発覚した後に「STAP細胞はあります!」と断定した小保方氏くらいのものです。

だから、「経済の大御所2人」が書いたレポートは今、霞ヶ関、永田町で「極めて信憑性高いもの」として認識され、持続可能な社会保障のために消費税は増税すべきで、財政赤字を拡大する財出なんてもってのほか、という空気を強化しているわけです。

…では、このレポートにその「因果関係」についての明確な「根拠」は示されているのかと言えば…結論から言って(「断定」しますが!)、答えは「NO」です。

なぜなら、このレポートには、「社会保障の将来不安→消費低迷」という因果関係の根拠となるデータは、一切示されていないからです。

…というか、そもそも、この大御所2人自身が「社会保障の将来不安→消費低迷」と断定はできないとご自身で書いているのです、

詳しく解説しましょう。

Next: 分析途上で「推察」したことを、結論で「断言」している

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