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忠実義務を果たした貴乃花親方と「隠蔽大国」の象徴としての日本相撲協会=近藤駿介

「貴乃花親方は礼を失している」協会側の主張に正当性なし

1月4日の評議員会では、年末の理事会でも配られた貴乃花親方の主張が書かれた文書も配られ、協会関係者の話としてその中に「執行部の4人が執拗に『内々で済む話だろう』と被害届の取り下げを要請してきた」などとも書かれていたことが報じられている。

こうした貴乃花親方の主張が事実だとしたら、貴乃花親方には協会に対する報告(内部通報)よりも警察への被害届提出(外部告発)を優先するに足る十分な理由があったことになり、それをもって理事降格といった不利益を受けるのは筋が通らない話になる。

また、相撲協会は貴乃花親方の非協力的な言動が騒動を長期化、深刻化を招いたとしているが、こうした主張も論理性を欠いたものである。それは、貴乃花親方の一連の行動が騒動を長期化、深刻化を招いたという相撲協会の主張には、比較対象となる基準が示されていないからである。

貴乃花親方が警察に被害届を出す前に相撲協会に報告していたら騒動は長期化、深刻化しなかったのだろうか

もし、相撲協会が貴乃花親方から日馬富士の暴行によって貴ノ岩が怪我をしたという報告を受けた場合、積極的にこの問題の解決に当たっただろうか。貴乃花親方が理事会に提出した文書の内容が事実だとしたら、そうした可能性はほぼなかったといえる。

そして何といっても、相撲協会は11月1日に鳥取県警から事実報告を受けながら、12日に初日を迎えた11月場所に日馬富士をそのまま出場させている。暴行事件の加害者である日馬富士を何のお咎めもなく土俵に上がらせていた相撲協会側に報告をしたとしても、客観的な対応がなされる可能性が低いと貴乃花親方が考えたとしても不思議なことではない。

相撲協会の危機管理委員会が公表した事実関係を記した資料には、11月1日に鳥取県警から日本相撲協会に捜査協力要請等の連絡が入ったと記されている。その後11月場所が初日を迎える12日までの間、相撲協会が貴乃花親方に事実確認をしようとしたことは記されているが、加害者である日馬富士や暴行現場にいた白鵬や鶴竜らに事実確認をしたことは記載されていない。

相撲協会が積極的に事実確認をしようとしていたのだとしたら、当然両横綱を含む関係者に事実確認を求めたはずである。その白鵬が相撲協会の事情聴取を受けたのは事件から1ヵ月が経過し、11月場所が終わった11月28日である。こうした事実から推察する限り、相撲協会は積極的にこの問題を解決する意思を持っていなかったと言わざるを得ない。

つまり、貴乃花親方が日本相撲協会に事実を報告していたとしても、協会が積極的に問題解決に当たることで長期化、深刻化に至らなかったとは言えない状況にある。もし相撲協会が積極的に動かないことを確認した後に貴乃花親方が外部告発に動いたら、それこそ協会との対立構造が鮮明になり、世間をより騒がせることになったはずである。

このように考えると貴乃花親方の行動が事態を長期化させ深刻化させたという相撲協会側の主張は説得力の乏しいものである。それは同時に貴乃花親方に下した理事降格という史上初の処分の正当性に疑いを持たせるものである。

Next: 常識的に考えて「著しく論理性を失している」のは日本相撲協会である

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