米利上げ決定でなぜ円高に？アメリカ株高はいつまで続くのか＝今市太郎

2017年3月16日 FX・先物

利上げ決定後にドル円が下落。市場では材料出尽くしのSell on the factと説明されるでしょうが、本来の為替・債券金利の関係と異なる動きになっているのは間違いありません。（『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎）

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2017年3月16日配信（号外）の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

将来的な暴落の原因に？ついに利上げの引き金を引いたイエレン

予想通りの利上げに円高で反応

大方の市場の予想どおり、FOMCでは利上げが発表されました。

ドットチャートから年間の利上げ見通しも3回となり、その後のイエレン会見を含めてひとつとして驚くべき材料はないままに終了したFOMCとなりましたが、投機筋が売り飛ばしはじめたのかドル円は114円台中盤から一気に1円以上も値を下げ、さらに東京タイムで下値を狙いそうないやな雰囲気になってきています。

本日はまだこれから、オランダの総選挙や米国の予算教書など材料盛りだくさんなので、ドル円がどう動くのかよく判りませんが、ここのところ無理やりドル円を買い上げてきた投機筋が完全に売りに回っており、しかも債券市場では米国債のたまりにたまったショートを買い戻す動きも見られていることから、利上げが決まったのにドル円は下落、米国債金利も下落という個人投資家にとってはよくわからない相場展開が続いています。

市場ではこうした動きについて、材料出尽くしの「Sell on the fact」と説明するのでしょうが、一時的にせよ、本来の為替と債券金利の関係とは異なる動きになっていることは間違いありません。

米ドル/円 15分足（SBI証券提供）

そもそも3月利上げの「大義名分」は依然として不明

イエレン議長はいろいろな理由を挙げて利上げを正当化していますが、インフレが大きく走り始めたわけでもないこの3月に慌てて利上げをした意味合いは、相変わらずよく判りません。

来年には再任が認められないのはもはや周知の事実となっていますから、トランプが5人のFOMCメンバーを新たに送り込んでくる前にとにかく利上げを済ませておいて、金利政策がとれるように正常化をしておきたかったのか？トランプへのあてつけであえて利上げを急いでいるのか？その真意は闇の中ですが、これまで中央銀行主体でバブル相場を展開してきたからこそ上昇した株式相場が、利上げの中でこれまでの上昇力を維持できるとは到底思えず、イエレンがとんだ相場下落のボタンを押してしまったということが、ごく近い将来になってあからさまになるのではないかと思われる状況です。

トランプ政権としては、これで相場が下落してもFRBイエレンの責任とすればいいわけですから比較的気が楽でしょうが、ここからはFOMCの5席の空席にトランプの息がかかった面子が投入されることになりますから、そもそも足もとのドットチャートもどれだけワークするかはまったく不明です。

とにかく、今回のイエレン判断が大失敗にならないことを祈りたい相場状況です。
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