混迷が続くギリシャ債務問題。メルマガ『いつも感謝している高年の独り言』では、どこの金融機関が、ギリシャ債務不履行に対してのどの程度の脆弱性を抱えているのか、2013年度と2014年度の数字を挙げて予想しています。
大手金融機関が抱える前代未聞の不良債権
一般メディアは、ギリシャ破綻か?それとも交渉妥結?毎日毎日、猫の目のごとく解説が変化し、右往左往の大忙しです。
ゲーム理論の専門家の指揮で、ギリシャ側は、貸し手を右往左往させているのです。ギリシャの望みはただ一つ。借金の減免、踏み倒しです。それ以外の目標はないのです。
これができないのであれば、自発的にEUの舞台から退陣するでしょう。交渉からギリシャに帰国したギリシャ財務相を待ち構えていたのは、議会でのスタンディング・オベーションでした。
借金の減免措置を貸し手側から貰えなければ、ギリシャ側の自発的な踏み倒しです。借り手の方が貸し手の足元を見てしまったのです。
自分達の陣営の大手金融機関が前代未聞の不良債権、資産を抱えて――困るのは貸し手です。29日月曜日、ギリシャのFX市場、株式市場、銀行の窓口が閉鎖されるでしょう。
ギリシャ債務不履行に対して脆弱な金融機関は?
さてそうなると、どこの金融機関が、ギリシャ債務不履行に対してのどの程度の脆弱性を抱えているのか?が注目の的。
こちらの棒グラフは、ギリシャ破綻に対するエクスポージャー(丸裸の無防備のレベル)の大きさのグラフです。
オレンジ色棒グラフ:2013年度のエクスポージャー金額
赤色棒グラフ:2014年度のエクスポージャー金額
一番真っ裸なのは、HSBC、クレディ・アグリコル(フランスの大手金融機関)、ドイツ銀行、バークレイズ銀行の順番です。
- HSBCは減らしていますが、それでも5000Mユーロ残っています
- クレディ・アグリコルは大きく増やして5000Mユーロ近くに増えています
- ドイツ銀行は増やしはしなかったが、減らしもしなかった
- バークレイズは増やして1650Mユーロになっています
しかし、これは直接的なエクスポージャーで、廻り回ってやってくる間接的なエクスポージャーは誰にもわかりません。
例えばA銀行が破綻となれば、A銀行の債券、株式等を保有しているB銀行、C銀行も不良資産が増え、それらの紙証文を持っているD銀行までも腐ってきます。瞬間的に伝染していくのですが、その伝染を止めるには、それぞれの銀行の債務を踏み倒し、悪循環の連鎖を切断する、すなわちBail-Inするしか方法がないのです。その場合は、予告なしです。
ギリシャの話ではなく、他のEU加盟国の話です。
『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』(2015年6月29日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による