インフレの行き過ぎを警戒するFRB
これはFRB内部でインフレに対する見方が変わったためと考えられます。
見通しの中でインフレ予想が来年以降は小幅ながら2%の目標を上回る予想になったことを紹介しましたが、これに伴ってFRBの物価評価が変わりました。
これまでは2%の目標を長期間下回り続けているとしながらも、中期的には2%の目標に到達し、そこで安定する、との見方でした。しかし、今回の声明文では、今後物価の動向には注意深く監視する、と、インフレの行き過ぎを警戒するトーンに変わりました。
このため、今後はやや引き締め的な政策運営により、景気の過熱、インフレの高進を抑え、経済の安定拡大を図る姿勢に変わりました。
利上げを加速する可能性も
これはパウエル議長が行った2月の議会証言にも通じます。
彼はそこで「景気の過熱を回避し、緩やかな成長で経済の安定を図る」との姿勢を見せていました。そこでは明示していませんでしたが、トランプ大統領の大型減税、インフラ投資など拡張的な財政政策が、景気の過熱を招くリスクを想定していた節があります。
これが現実の経済に表れてくるようなら、FRBは利上げを加速する可能性があります。現在のメンバーのうち、後1人が今年あと3回の利上げ陣営に移れば、中央値は2.375%、つまり年4回の利上げに変わります。
つまり、今回のFOMCでは、見た目以上にFRBの利上げ傾斜が強まり、「金融引き締め」まで意図されるようになった点に注目する必要があります。