賃金がなかなか上がらない昨今、手残りを増やす方法=貯蓄について考えてみます。多くの人は貯蓄をしたいと望みながら、なぜそれができないのでしょうか?(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編)
プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2018年3月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
なぜあなたは貯金ができないのか? 増税ラッシュに備える貯蓄術
みんな節約している
「何とかしてお金を貯めたい」。そう思わない人はほぼいないでしょう。インターネットを叩けば、すぐに様々な節約術を知ることができます。
最近では、日々の晩酌代を節約するため、高アルコール飲料を飲んで購入本数を減らすという方法まであるようです。高アルコール飲料というのは、アルコール度数が6%以上の商品のことを言い、通常のビール類はだいたい5%前後とされています。高アル飲料は「少ない量で早く酔える」というのが消費者の節約志向にマッチしたようで、この傾向を敏感に察知した業界側も、新商品の開発に余念がありません。
実はこれには税金が大きく関係しています。現在、出荷が減少傾向にあるビールは税率が高いために、それが価格に影響し、消費者は自然に税率の低い第三のビールや缶チューハイに流れていました。今後は酒税法の改正によって、第三のビールの優位性が失われ、その分、税率の低い缶チューハイが有利になると見られています。
人が出費を安く抑えようとするならば、無意識でも必然的に税金の安いものを選択せざるをえないわけです。とはいえ、消費者の節約したい気持ちはわかりますが、「1缶で手早く酔えるように」というのは、少し寂しいような気がしなくもありません。
これから始まる増税ラッシュ
日本では、2018年以降も増税が続きます。第三のビールへの第1回目の増税は2020年から始まりますが、他の嗜好品に関して言うと、この10月よりタバコへの増税や、19年より国際観光旅客税が実施されます(日本人にも適用される、一種の出国税です)。
税金の大きな変化としては、扶養控除の見直しがこの1月よりすでに始まっている他、19年10月には消費税が10%になり、20年1月からは所得税の増税が待っています。所得税増税に関してはまさに今、参議院で審議されているところです。その内容は「年収850万円超のサラリーマンをターゲットに増税し、代わりに自営業者やフリーランスを減税する」というものです。
おそらく今後も一時的なアップダウンはあるものの、増税傾向は先進国を中心に強まっていくでしょう。
今後も経済の大逆転は起こらない
かつては「経済が上向きになれば」「失業率が下がれば」とよく言われていました。しかし、今の日本は失業率もこれ以上ないくらい低く、経済も戦後2番目の好景気の最中にあるとされています。なのになぜ、世の中にはかつてのような達成感や高揚感がないのでしょうか?
少し前に流行った『21世紀の資本』で有名なフランスの経済学者、トマ・ピケティ氏は、その著書の中でこう述べています。「富裕国が直面せざるを得ない試練の本質とは、経済成長では解決しないことにそろそろ気づくことだ」。さらに、こうも言っています。「技術面で世界の先頭集団に位置した時から、どんな国も年1~1.5%以上の成長を維持することはできなくなる」と。
「経済が年4~5%という高度成長期は、戦後の復興期の過渡的な現象であり、平常時のものではない」(『トマ・ピケティの新・資本論』より)とすると、経済での“大逆転”は、今後も望むべくもないわけです。この状態が続く以上、国は制度を維持するために増税せざるを得ない、ということです。
収入を増やすのは難しい、ならば…
以後、増税が繰り返されるということは、そのままでいては収入減を意味します。「だったら、収入を…」と言いたいところですが、それもなかなかすぐには難しいでしょう。他に手立てはないものでしょうか?
そこで今回は、「手残りを増やす方法=貯蓄」について考えてみたいと思います。多くの人は貯蓄をしたいと望みながら、なぜそれができないのかを知りません。本特集の目的は、貯蓄ができない原因を明らかにすることによってあなたが「今、やるべきことが明確になる」ことです。なお、具体的な方法に関しましては、当メルマガのバックナンバー【Vol.41】「マネーレコーディング」や【Vol.79, 80】「マネープラン」等も合わせてご覧ください。