「TPP11」を優先した日本
このような米国の通商圧力に対して、麻生財務大臣は29日午前の参院財政金融委員会で「これをてこに2国間の個別交渉に引きずり込まれないようにするのが一番肝心なところだ。我々はこれだけは断固拒否する」と述べている。
つまり、日本は日米FTA交渉など、2国間の交渉は行わない。TPP11を優先するということ。完全敗北した韓国と同じ轍は踏まない。これもTPP11という巨大な枠組みがあってこそだ。
韓国の場合は、2国間で交渉可能なFTA政策を重視してきた。これは先月に逮捕された元明博元大統領から続く外交の流れだが、どちらが最終的に有利にことを運べるかは一目瞭然だろう。
確かにTPP11の交渉には5年以上も費やした。しかし、そのTPP11があるからこそ、日本は主導権を握れるわけだ。
私はかねてより、アメリカがTPPを抜けてくれたことを大歓迎している。TPP11を抜けたのはトランプ大統領の悪手だったと思う。
中国経済が衰退すると、韓国株がそのまま売られる
ここまで韓国が完全敗北した経緯を述べてきたが、実はまだ終わっていない。米国と中国による「米中貿易戦争」は始まったばかりなのだ。
これは、韓国経済にとってはかなりの痛手になる。中国経済が衰退すると、韓国株がそのまま売られる。この動きは数年前、中国市場の大混乱の時に起きたことだ。
交渉が中国有利に運ぶことはまずないので、何らかの貿易制限が課せられたら、それだけで韓国株は売られるだろう。
実際、今の韓国株は半導体株だけが急上昇していて、他はお通夜状態だと言っていい。サムスン電子を除く大企業のほとんどが利益をあげていない。現状維持が関の山である。